西南戦争機に本格導入された警察官の武道 逮捕術など独自発展も 警視庁150年
このため、22年ごろ、各地域の警察が、犯人からの攻撃や抵抗に対し、体の構造を利用し最小限度の力を用いて相手や自らを安全確保した上で逮捕する「逮捕術」の研究に励んだ。一元的に技を作り上げるために柔道、剣道のほか空手やボクシングなどの選手が警察庁に集まり、それぞれの技術が結集してできたという。その後、日本拳法などを取り入れて、警察官が所持している警棒や警杖などを使う、現在の形で完成した。
■合気道も追加
35年には技術や精神面での訓練が職務に適しているとして、機動隊員に合気道が取り入れられた。女性警察官の増加に伴い、当時警棒などを携行していなかった女性警察官の柔道や剣道に代わる警察術科としても導入された。
現在の警察学校では、柔道、剣道、合気道のいずれかを選択。稽古は若手だけでなく、当番の警察官らが朝や夕方などに加わる。未経験者でも技能を習得しやすいように、研修を受けた教官が犯人と対峙した実践的な状況を想定して技の指導を行う。
各警察署では地域の小学生などにも柔道や剣道の指導を行うほか、逮捕術や合気道を護身術として企業や住民に教えるなど、警察以外にも技術を伝えている。
日ごろの成果を競う各種目の大会も開かれ、全国の警察官が出場する大会では階級別や団体戦などで盛り上がる。なかには全日本大会に出場する実力者もいる。
(梶原龍)