エンジンか、それとも電気か?「フォルクスワーゲン」の本音をシェーファーCEOに単独インタビュー
2023年には「フォルクスワーゲン・クラシックツアー」なる従業員参加のイベントを開催。自身は、黄色い車体にマットブラックのボンネットを組み合わせたスポーティな見かけの「タイプ1(オリジナルビートル)」で参加して、社員から喝采を浴びたという。 シェーファーCEOについて、もうひとつ、社員がおもしろがっていることがある。「Love Brand」とフォルクスワーゲンを再定義しよう、という発言だ。「クルマを作って売る立場としてヤル気をかきたてられる」と、社員は話しているそうだ。
■「ゴルフの今後」はどうなるか? 少し話がそれるけれど、いま日本で興味深い動きがある。20代に「ゴルフ2」(1983-1992年)の中古が人気なのだ。理由を尋ねると「シンプルなスタイルとしっかりした作りが他にはないから」だとか。それに「なんだか愛着が感じられる」とも聞いた。 実は、まさにシェーファーCEOが頭の中に描いているのが、上記のようなブランドと消費者との“関係の再構築”のようだ。これは、フォルクスワーゲンの広報担当から聞いたから、事実なのだろう。
そんなことを背景に臨んだ、今回のオンラインインタビュー。私がシェーファーCEOに聞きたかったことのひとつは、前述した「ゴルフの今後」について。 フォルクスワーゲンでは、2024年に現在のゴルフ8の改良版、通称「ゴルフ8.5」を発表する予定だ。そしてその先にまったく新しい「ゴルフ9」がある。いっぽう、それと並行するように、ピュアEVの「ID.」シリーズのラインナップ拡充に力を入れている事実がある。
果たして今後、フォルクスワーゲンのラインナップの中心はゴルフでなくてSUVになるのだろうか。それとも、ピュアEVにとって代わられるのだろうか。 「将来ゴルフは、新しいプラットフォーム(SSP=スケーラブルシステムプラットフォーム)を採用してピュアEVになります。その路線は変わりません。計画では2020年代後半の導入です」 コンピューターの画面に登場したシェーファーCEOは、通称「ゴルフ9」と言われる未来のゴルフについて、そう語る。そして「たしかに……」と言葉を続ける。