トヨタ、負傷コンウェイの代役でロペスを起用した理由を説明。リザーブ担当の宮田莉朋は「ル・マンを走った経験がない」
TOYOTA GAZOO Racingのマイク・コンウェイは、6月6日にサイクリング中の事故で肋骨2本と鎖骨を骨折。6月15日から6月16日にかけて決勝レースが開催されるル・マン24時間レースを欠場することとなった。 【動画】キャデラックが大クラッシュ! 赤旗の原因に|2024年WECスパ6時間 チームはコンウェイの代役として、ホセ・マリア・ロペスを起用すると発表したが、その決定についてTOYOTA GAZOO Racing Europeのディレクターを務めるロブ・ルーペンは「非常にシンプルなモノ」だったと説明した。 昨年、日本でスーパーフォーミュラとスーパーGTのタイトルを獲得した宮田莉朋は、今季から世界耐久選手権(WEC)でトヨタのテスト兼リザーブドライバーに指名されている。ただ、コンウェイの代わりに7号車のトヨタGR010ハイブリッドのドライバーとして選ばれたのは、宮田ではなくロペス。宮田はヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)参戦プログラムの一環として、クールレーシングからル・マン24時間レースのLMP2クラスに出場することが決まっており、6月9日に行なわれるル・マンのテストデーで初めてサルト・サーキットを走ることとなる。 一方、ロペスは昨年まで7号車 GR010ハイブリッドをドライブ。今季はニック・デ・フリーズにハイパーカークラスのシートを奪われることとなったが、旧LMP1クラスを含めて6シーズン、WEC最高峰クラスを戦った経験を持っている。 ルーペンは今回の決定について、「ロペスの経験と、リトモの経験不足によるもの」と説明しており、経験が物を言うル・マンに向けて関係者全員のメリットを考えた上での決定だと語った。 「リトモはここル・マンを走ったことがなく、スイスのクールレーシングからLMP2クラスに参戦する」とルーペンは言う。 「チーム内でも話し合った。そしてカムイ(小林可夢偉/7号車ドライバー兼チーム代表)が日本にいるモリゾウさん(豊田章男/トヨタ会長)と話し合ったんだ。その結果ホセが7号車に乗り込むことが、リトモを含む全員にとってベストだという結論に達した」 ただルーペンは、ル・マンでは今後も宮田がトヨタのリザーブとして待機するということを強調した。 「何が起こるかわからない。まだ長い1週間だからね」とルーペンは語った。 宮田は9日のテストデーで、トヨタの第5ドライバーとして7号車、8号車に登録されており、クールレーシングの37号車オレカ・ギブソン07に並び、GR010ハイブリッドでも周回を重ねる予定だ。 ルーペン曰く、トヨタにとってより難しい判断だったのは、ロペスが抜けたASPの87号車レクサスRC F GT3のドライバー枠を埋めることだったという。 ロペスの7号車GR010ハイブリッド起用が発表された当初は、87号車 RC F GT3の後任ドライバーは明かされていなかった。しかし最終的に、昨年IMSAスポーツカー選手権GTDクラスでヴァッサー・サリバンのレクサスでタイトルを獲得したジャック・ホークスワースがシートに収まることとなった。 ルーペンは宮田を87号車 RC F GT3にスイッチすることも検討したと明かす一方で、ホークスワースと共にIMSAタイトルを獲得したベン・バーニコートを起用するという選択肢はなかったと説明。そのバーニコートは、AFコルセからLMP2クラスでル・マンに参戦予定なのだ。 木村武史、エステバン・マッソンと87号車 RC F GT3をシェアすることになるホークスワースは、ル・マンデビュー決定までの経緯を「大慌て」と表現した。 ホークスワースは、ハットリ・モータースポーツチームからトヨタGRスープラGT4 EvoでIMSAミシュラン・パイロット・チャレンジのミッドオハイオ戦に参戦する予定だったものの、ホテルからサーキットに向かう途中にル・マン参戦の電話を受けたという。 「サーキットへ向かう途中、(アメリカでレクサスのレースプログラムを統括する)トヨタ・レーシング・デベロップメントのアンディ・グレイブスから電話がかかってきたんだ」とホークスワースは説明した。 「それだけで、僕はここに来たんだ」 「サーキットへ行って、荷物を受け取ってからホテルに戻り、そのままデトロイトに直行して(フランスへ向かう)フライトを予約した」 ホークスワースは6月8日の午前中にル・マン入り。昼に予定されていたASPの車検には間に合った。 「ル・マンは僕のやりたいことリストに載っていたけど、すぐには考えられなかった」とホークスワースは言う。 「長年レースをしてきたレクサスと戦えるのは、とてもクールなことだ」
Gary Watkins