原点XS-1から最新MT-07まで「ヤマハ製パラレルツインの進化と到達点」
ヤマハ MTシリーズの代名詞「クロスプレーンコンセプト」とは?
270度位相クランクの美点と言うと、良好なトラクションが筆頭に挙がることが多いものの、ヤマハは当初から「ライダーにとってノイズとなる慣性トルクを低減し、燃焼トルクが瑞々しく感じられること」と明言。 2000年に入るとその思想を転用する形で、並列4気筒用のクロスプレーンクランクを生み出し、以後はクロスプレーンコンセプトに基づいたモデルとして、並列4気筒のYZF-R1(2009年型)、パラレルツインのXTZ1200スーパーテネレ、並列3気筒のMT-09シリーズを開発。2014年からは同社製4ストパラレルツインの原点を思わせる、MT-07シリーズの発売が始まることとなった。 MT-07が搭載するCP2エンジン(クロスプレーン2気筒の意)の特徴は、小型軽量化を念頭に置いてバランサーを1軸式としたことである(TRX850とXTZ1200スーパーテネレ、他社の同形式エンジンは2軸式)。とはいえ同社にとって第4世代となる270度位相クランクのパラレルツインは、他社の同形式エンジンとは一線を画する抜群の扱いやすさや爽快感を実現。 その魅力を幅広く展開するため、2016年以降のヤマハは個性の異なる3モデル……ネオクラシック路線のXSR700、オフロード指向が強いアドベンチャーツアラーのテネレ700、フルカウルスポーツとして開発されたYZF-R7を発売していく。 註:海外市場専用のトレーサー7を含めるとCP2エンジン搭載車は計5モデルとなる。 ■あえて1軸バランサーを採用した「CP2エンジン」 ボア×ストローク:80×68.5mm、排気量:688ccという数値は、CP2エンジンを搭載する全車に共通。ただし、MT-07/XSR700/YZF-R7の最高出力・最大トルクが73ps/8750rpm、67Nm/6500rpmであるのに対して、テネレ700は最高出力発生回転数がわずかに高くて最大トルクがわずかに太い、73ps/9000rpm、69Nm/6500rpm。