ミュンヘン銃撃 容疑者は無差別乱射に関心? 事件の独社会への影響は
7月22日はノルウェー連続テロの発生日
ドイツでは駅や電車の車内でナイフや斧を使った刺殺事件が、今年に入ってからすでに3件発生しており、いずれもイスラム過激思想に影響を受けた人物による犯行であったという見方が強い。ミュンヘンがあるバイエルン州では、19日にも走行中の電車の車内で難民として入国したアフガニスタン人の少年が斧やナイフで乗客を襲い、警察に射殺される事件が発生したばかりであった。また、3月にドイツ北部のハノーバーの鉄道駅で警察官が突然首を刺されて重傷を負った事件では、容疑者はモロッコ出身の15歳の少女だった。ソンボリーとイスラム過激派との間に接点はなかったという見方が強い一方で、7月22日はヨーロッパを震撼させた大量殺人事件が発生した日で、ソンボリーがあえてこの日を選んだのではないかという指摘もある。 2011年7月22日、ノルウェーで発生したその連続テロ事件は世界に衝撃を与えた。首都のオスロでは自動車に仕掛けられた爆弾が爆発し、それから間もなくして、オスロから数十キロ離れた湖に浮かぶウトヤ島で政治集会を開いていた与党青年部所属の若者らに対する無差別銃撃が発生。77人が死亡し、100人以上が負傷した。2つの異なる場所で短時間の間に発生したテロ事件だが、アンネシュ・ブライビークという32歳のノルウェー人による単独犯行であったことが判明。単独犯としては世界最大の大量殺戮を行ったブライビークは、数年をかけて軍用ライフルや爆薬などを入手し、テロの準備を周到に行っていた。 2001年にアメリカで同時多発テロが発生して間もなく、ドイツ国内では、多くの人が集まり、比較的警備の緩い「ソフトターゲット」でのテロを防ぐために、監視カメラやパトロールの警察官の数を増やしてきたが、全ての場所でテロや無差別銃撃を防ぐのは物理的に不可能だという声もある。20世紀にドイツで発生したテロは、ドイツ赤軍に代表される極左グループによるものや、ネオナチのような極右組織によるもの、パレスチナ・ゲリラやリビアの諜報機関によるものなど多岐にわたった。しかし、無差別テロはあまりなく、ターゲットは政財界のトップや米軍関係者、イスラエル人など特定化されていた。22日に発生した乱射事件の現場近くは、1972年のミュンヘン・オリンピックでパレスチナ・ゲリラがイスラエル人選手団を殺害し、人質に取った場所でもあった。