テレビ朝日、7月の障害の原因は「中性子線の衝突」 半導体の進化でソフトエラー発生率は上昇
テレビ朝日は11月8日、7月に放送機器の障害で地上波のCMやBSの番組、CMが放送できなくなった件について原因を特定したと発表した。中性子の衝突によりメモリーエラーが発生し、番組送出用のサーバが制御できなくなったという。 【画像】半導体プロセスのデザインルールが微細化するほどソフトエラーの発生率は高くなる 7月23日の午後10時過ぎ、局内のマスター設備内にあるネットワークスイッチの記憶装置で誤作動(メモリーエラー)が発生し、ネットワークに大量のデータが流れた。これにより番組やCMを送出する3系統のサーバが全て制御不能となったという。 この影響で、同日午後10時4分から午後11時59分の間、地上波ではCMが流れず、BSでは番組も放送できなかった。翌24日の早朝にも短時間ながら同じことが起きた。 エラーの原因については、設備メーカーから「中性子線の影響」と報告があったという。中性子は日常的に地上に降り注ぐ宇宙線が、大気中の原子に衝突することで発生し、これが半導体に衝突すると誤作動(ソフトエラー)を引き起こす場合がある。テレビ朝日の検証会議が大学や民間研究所などにヒアリングしたところ、見解はほぼ一致したという。
半導体の進化で影響受けやすく
中性子に起因する「ソフトエラー」は以前から指摘されていたが、実際に起こることは稀だった。しかし近年は半導体製造技術の進歩で半導体製造ルールの微細化が進み、保持する電荷も小さくなったことで、以前より影響を受けやすくなっている。一方で影響評価や対策の研究も進んでおり、試験方法などはNTT研究所の提案をITU-Tで標準化済みだ。 テレビ朝日は再発防止策として、同様の事象が発生した場合は通信を遮断するなどの対策を施した他、予備系統を強化するなどして不測の事態に備える。なお、この障害を受け、技術局担当取締役が役員報酬10%、1カ月分を自主返上した他、技術局長が譴責処分となっている。
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