愛知「ジブリの大博覧会」盛況 運営スタッフが語る苦労話
スタジオジブリの設立から30年間の歩みを体感できる特別企画「ジブリの大博覧会」が、愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で開催され、盛り上がりを見せている。休日には4000人、平日でも2000人近くの来場者が訪れるほどの盛況ぶりで、18日には来場者数が10万人を突破。これまで公開されていない多数の制作資料が見られるほか、『となりのトトロ』に登場するトトロやネコバス、『崖の上のポニョ』のポニョといった映画作品のキャラクターもお目見えし、ファンならずとも楽しめる内容となっている。関係者は本展について「映画も展示も、人の手と情熱でできているという臨場感を感じていただければ何よりです」と話している。
愛知万博10周年を記念した特別企画
本展は2005年に開催された愛・地球博の10周年を記念して行われる「全国都市緑化フェア」の特別企画。愛・地球博で『となりのトトロ』に登場する「サツキとメイの家」が建てられ人気を博したことは記憶に新しい。今回再び、スタジオジブリが愛知県からのオファーを受ける形で本展の開催に至った。 展示は2つの会場に分かれ、映画『思い出のマーニー』をテーマにした「思い出のマーニー×種田陽平展」(以下マーニー展)と、愛知が初となる「ジブリの大博覧会展」(以下大博覧会展)で構成される。 マーニー展はすでに開催されたことのある巡回展となるが、今回は映画を観ていない人にも楽しめる内容にバージョンアップ。制作資料と種田美術監督の作業机の再現などを通じて、映画の制作過程をわかりやすく展示。また、アニメーションと実写映画のコラボにより「映画の美術」を存分に体感できるものとなっている。
ジブリスタッフが総動員で資料をかき集めた
一方、大博覧会展はこれまでにない初の試み。『風の谷のナウシカ』から始まったジブリの歴史を振り返り、ポスターやチラシなどの広告宣伝物をはじめ、制作資料や企画書など未公開のものを含む3000点近くの資料が所狭しと空間を埋めつくす。スタジオジブリのイベントプロデューサー青木貴之さんに、開催に至るまでの話を聞いた。 「お話をいただいたのは1年前くらいでしたが、実質5か月程度の準備期間でした。スタジオジブリスタッフが総動員で過去の宣伝資料を中心に作品をかき集めました。あわせて、展示の柱となる鈴木敏夫プロデューサーのインタビューも重ね、展示を構成していきました。この企画はジブリが過去30年、どのように作品を伝えてきたか、つまり宣伝という今までにない切り口の展示です。“汗と涙の30年”という熱を、できる限りそのままお客様に伝わるようにすることに苦労しました」 さらに本展の見どころについて、「マーニー展ではスタジオジブリが“どのように映画を作っているのか”、そして大博覧会展では“どのように作品を世に伝えるのか”、2つの展覧会を通じてスタジオジブリの映画作りが一度に見られるまたとない機会。映画も展示も、人の手と情熱でできているという臨場感を感じていただければ何よりです」と続けた。