米高級百貨店2社が「4300億円の取引」で合併、アマゾン出資でECに期待
米高級百貨店大手「サックス・フィフス・アベニュー」の親会社のサックス・グローバルは12月23日、同業の米高級百貨店「ニーマン・マーカス」を27億ドル(約4250億円)の取引を通じて傘下に収めたと発表した。この取引は、アマゾンなどの大手の出資を受けて実現した。 サックス・グローバルは23日の発表で、この合併によって自社のブランドのラインナップが、ニーマン・マーカス、バーグドルフ・グッドマン、サックス・フィフス・アベニュー、ディスカウント業態のサックス・オフ・フィフスを含むものになったと説明した。 今夏に初めて報じられたこの合意により、サックス・グローバルはカリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州、イリノイ州、ニューヨーク州にあるニーマン・マーカスの36店舗を取得する。今回の合併には、アマゾンやセールスフォースといったECのノウハウを持つ企業に加え、リーボックやフォーエバー21の運営元のオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)らが少数株主として出資した。 CBSニュースは7月に、アマゾンの参画によって物流とECの合理化や、オンラインショッピングの強化による若年層の取り込みなどの効果が期待できると報じていた。ブルームバーグは、この取引が収益性の向上と供給業者との交渉力の強化、サプライチェーンコストの削減を通じたコスト削減を目的としていると報じていた。 サックス・グローバルの主要株主であるハドソンズ・ベイ・カンパニーは、新型コロナウイルスによる売上の急落や店舗の閉鎖によって2020年5月に破産申請をしてからわずか4年でニーマン・マーカスの支配権を得ることになる。 この取引はまた、ラグジュアリー分野の消費が低迷する中で行われた。ヴォーグ・ビジネスが引用したイタリアの高級ブランド団体アルタガンマとベイン・アンド・カンパニーのデータによると、高級品市場からは約5000万人の消費者が離脱しているという。ベインのアナリストは、生活コストの上昇や高級ブランドの価格設定が、ラグジュアリー分野の低迷につながっていると述べていた。
Antonio Pequeño IV