焼き芋は「飲む」時代へ 牛乳で割って、カクテルで 新たな楽しみ方広がる
国産サツマイモ多様に
焼き芋は食べる時代から飲む時代へ──。サツマイモの焼き芋をドリンクとして提案する飲食店やメーカーが増えている。ペースト状の焼き芋を牛乳などで割ったドリンク商品や、焼き芋味のアルコール飲料などが続々登場。国産サツマイモの新たな楽しみ方として「飲む焼き芋」の提案は今後さらに広がりそうだ。 【画像で見る】「飲む焼きいも」の商品 サツマイモ産地の埼玉県川越市では、カフェ&ショップ・MINAMIMACHI COFFEEの「焼いもラテ」(600円)が観光客から人気を集める。同商品は、国産のねっとり系の品種のサツマイモの焼き芋と、牛乳をミキサーにかけて作る。11~3月には地元川越産のサツマイモも使う。 同店舗を運営するフライドグリーントマト(東京都目黒区)は「焼いもラテ」について「滑らかで飲みやすく、サツマイモの皮も使うことでしっかりとした香りがするのが特徴」とする。年々増加傾向のインバウンド(訪日外国人)からの人気も高く、「平日、休日問わず、販売は好調」(同社)という。 茨城県鉾田市のカフェ&物産直売所・小太郎物産が提供する「飲む焼きいも」は、2015年から販売している焼き芋ドリンクの先駆けだ。同社の小沼広太代表は、以前から販売していた自家製焼き芋の甘さとやわらかな食感に着目。「これは飲み物にできると思い、考案した」と話す。 鉾田市産のサツマイモ「べにはるか」を使った、高糖度の自家製焼き芋と牛乳だけで作るのがこだわりだ。カフェでの提供に加えて、パウチ入りの自宅用商品の販売も好調で、「リピーターになる人が多い」(小沼代表)という。
発売から約4年間、売れ行き予想以上
アルコール飲料としての「飲む焼き芋」も人気だ。総合酒類メーカーの明利酒類(水戸市)は、「焼き芋リキュール“酔う焼き芋”」を20年から販売している。茨城産のサツマイモ「シルクスイート」を焼き芋にし、ペースト状にしたものを原料に使う。焼き芋本来の味と香ばしい香りが楽しめるのが特長。同社は、牛乳で割ってカクテルにする飲み方や、バニラアイスにかける食べ方を推奨する。購入者の間では想定を超える多様な楽しみ方が広がっており、「SNS(交流サイト)では、炭酸で割って飲んだり、スイーツ作りの材料に使う投稿も見かける」(同社)という。売れ行きも予想以上に好調で「発売から約4年間、安定している」(同社)。 (永井陵)
日本農業新聞