「退職金を株式投資で増やす」と言い出した父に不安…元証券マン・相続の専門家が解説する、退職金運用のリスクと“3つの重要ポイント”
退職金の一部を投資に回し、残りを「安全資産」に保つには……
そもそもお金を働かせるという言葉は、「投機」「投資」「資産運用」「資産形成」などさまざまな言葉があります。今回の退職金については、この4つの言葉の中でも「資産運用」をしていただくことをおすすめします。 資産運用とは既にある資産をバランスよく効率的に活用することです。 今回は資産運用で成功するための3つのポイントをお伝えします。 1.目標設定:ゴールから逆算する 2.ポートフォリオ構築:金融資産を3つに分ける 3.実行と改善:進捗確認とリバランス まず資産運用においても目標を持っておくことは重要だと考えます。目標があるとどの程度のリスクを取ればよいか? どのくらいの資金が必要か? といったことが明確になってくるからです。 目標を設定する上での一つの目安として、ご自身が生活していくためにどの程度の利益を出す必要があるか? ということを軸に目標設定してみてください。資産運用を検討する場合は、ご自身の金融資産を3つの財布に分けることをお伝えしています。1つ目は「預貯金」、2つ目は「攻めの資産」、3つ目は「守りの資産」です。 「預貯金」は生活費の6ヵ月分、「攻めの資産」は株式型投資信託を中心に、「守りの資産」は債券で検討していくことを推奨しています。まずは「預貯金」をしっかりと確保したうえで、「攻めの資産」と「守りの資産」を考えていきましょう。株式投資をどうしても行いたい場合は、この「攻めの資産」の運用予算の一部から始めることをおすすめします。
家族の負担を避けるための“最悪のシナリオ”対策
冒頭にもお伝えしたとおり、株式投資で失敗した人を私はたくさん見てきました。特に大きなお金が入ったタイミングで気持ちも大きくなって「株式投資をやってみよう」という人は少なくありません。株式投資をするということは株式市場に参戦するということです。 市場にはプロ投資家といわれる機関投資家もいます。素人がプロ野球選手と野球で勝負して勝てることはあり得ないことですよね。まさにそういった環境で株式投資をして勝っていく必要があると思っていただけると、より株式投資の難しさのイメージが湧くのではないでしょうか。 ご家族にも生活費には全く影響を及ぼさない資金から始めること、投資する会社の数は最低でも10社に分けること等、きちんと理解を得られるように工夫しましょう。 また認知症や相続が発生した場合、証券口座は凍結されてしまいます。そのため、取引証券会社はどこであるかを事前にきちんとお伝えしておくことも強くお勧めします。