【追悼】マルチェロ・ガンディーニの遺した名車を振り返る 50選 前編 伝説の自動車デザイナー、逝く
フィアット X1/9(1972年)
前述のアウトビアンキA112ランナバウトから派生したX1/9は、フィアット初の手頃なミドエンジン・スポーツカーとして新風を巻き起こした。当初は1.3Lエンジンを搭載し、後に1.5Lが追加された。総生産台数は約16万台に達する。
NSUトラピーズ(1973年)
NSUトラピーズは、1968年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したNSU Ro80をベースにしている。ロータリーエンジンと前輪駆動を特徴とし、鋭く突き出たフロントガラスと顕著なウェッジシェイプなどはランチア・ストラトスから流用した。しかし、ストラトスとは異なり、トラピーズはエンジンをリアアクスル上に搭載している。 フロントシートを車体中央に置き、小型エンジンを挟むようにリアシートをオフセット配置することで、広大なレッグルームを確保した。しかし、この奇抜なアイデアは流行らなかった。
ランボルギーニ・ウラッコ(1973年)
1970年のトリノ・モーターショーで公開されたウラッコは、3年かけて発売にこぎつけた。しかし、最高出力220psのミドシップ2.5L V8エンジンの性能と信頼性は期待外れであった。 250psを発揮するウラッコP300も導入されたが、低品質に悩まされ、消費者が離れてしまった。ウラッコは1973年から1979年の間にわずか791台しか生産されていない。
ランボルギーニ・エスパーダ4ドア(1973年)
エスパーダの後継車開発の必要性に迫られたランボルギーニだが、一から新規開発する余裕はなかった。そこで、ガンディーニ氏はエスパーダの進化版を考案することにした。 その結果、ホイールベースを4インチ延長し、ポップアップ式のヘッドランプを備えた4ドア・クーペが誕生した。しかし、残念なことに、図面の域を出ることはなかった。
フェラーリ・ディーノ308 GT4(1973年)
エンツォ・フェラーリがフロント以外の場所にエンジンを載せることに反対したのは有名な話だ。しかし、ミウラがミドシップ・スポーツカー革命を起こすと、さずがに目を向けざるを得なくなった。 1968年に206 GT "ディーノ" が誕生し、1973年にはフェラーリ初のミドシップV8である308 GT4が登場した。その後複数のモデルが続いたが、1993年のモンディアルの終焉とともにミドシップ4シーターに見切りをつけた。 (記事は後編へ続きます)
AUTOCAR UK(執筆) 林汰久也(翻訳)