脳波をみれば「何を考えているか」も「見ている夢の内容」もわかる?! 最新脳研究が明らかにする「衝撃の真実」
累計43万部を突破し、ベストセラーとなっている脳研究者・池谷裕二さんによる脳講義シリーズ。このたび、『進化しすぎた脳』 『単純な脳、複雑な「私」』 (講談社ブルーバックス)に続き、15年ぶりとなるシリーズ最新作『夢を叶えるために脳はある』(講談社)が刊行された。 【画像】「脳」は、いったいなんのためにあるのか…その「答え」 なぜ僕らは脳を持ち、何のために生きているのか。脳科学が最後に辿り着く予想外の結論、そしてタイトルに込められた「本当の意味」とは――。 高校生に向けておこなわれた脳講義をもとにつくられた本書から、その一部をご紹介しよう。
なぜ「世界」が見えているのか?
「夢を叶えるために脳はある」という僕の研究室の標語について再び考えたい(以前の記事〈「脳」は、いったいなんのためにあるのか…「生命の存続」や「種の繁栄」とは無関係な「ひとつの答え」〉)。夢を見て目が覚めたとき「ああ夢だった」とわかるのはなぜだろうというのは、簡単なようでいて、意外とむずかしいという話をしたよね。これを別の角度から考えてみよう。他人の夢ならどうだろう? その人が夢を見てるかどうかはわかる? ー 寝ているとわかれば……。 うん。寝ているときに夢を見るからね。ただ、寝ているからといって、夢を見ているとは限らない。夢を見ていないときもある。でも、脳の活動を見ると、夢を見ているかどうかわかる。 ー 脳波の周期のことですか。 そうそう。レム睡眠とかノンレム睡眠とかは聞いたことがあるよね。レム睡眠とかノンレム睡眠、どちらのときも夢を見ている。ただ、レム睡眠のほうが夢を見ている確率は高い。最近では、寝ている人の脳の活動を記録すると、見ている夢の内容がわかるようになった。 ー えーっ。 びっくりするよね。夢は「見る」ものだ。つまり、視覚を経験している。だから、視覚野という脳の領域を調べればいいんだ。というわけで、ここで視覚について、皆と考えていこう。見えるって、結構、不思議なんだ。 さて、そもそも僕らは、なんで世界が「見える」かわかるかな? ー ……。 あれ、だれも知らない? 本当に知らないの? ー ……。 僕は知ってるよ。「目」があるから見えるんだよ。 ー ずるい! ー なーんだ。 なーんだ! ってか。いや、そうだよね。目は、それくらい僕らにとって当たり前の存在だね。でも不思議なんだよ。目は、どういうわけか、脳の前のほうにくっついているんだ。 ー ……。