ほろよい余話 滋賀・高島の古式酒造り「木槽天秤しぼり」の柿渋ぬり
ひと段落して表に出ると、蔵の壁沿いに塗り終わった道具たちが立てかけられ、天日干しされていた。青空の下、赤々と鮮やかに輝いている。
「この景色が好きでね」と、蔵元の上原さんが、側で目を細めて立っていた。私も大好きな蔵の情景だ。不老泉、夏の風物詩である。
◆まつうら・すみれ ルポ&イラストレーター。昭和58年京都生まれ。京都の〝お酒の神様〟をまつる神社で巫女として奉職した経験から日本酒の魅力にはまる。著書に「日本酒ガールの関西ほろ酔い蔵さんぽ」(コトコト刊)。移住先の滋賀と京都を行き来しながら活動している。