ハンセン病、法廷でも差別 群馬で「菊池事件」企画展
ハンセン病患者差別の歴史を伝える群馬県草津町の「重監房資料館」が、患者だと報告された男性が殺人罪に問われ、隔離先の特別法廷で死刑判決を受け、執行された「菊池事件」の企画展を開いている。特別法廷での審理は熊本地裁が2020年「不合理な差別」で違憲だと判断。黒尾和久学芸員は「マイノリティーへの加害の歴史を改めて学び、自分ごととして考えてほしい」と話す。 菊池事件で男性は、1952年に熊本県内の村の元職員を殺害した罪に問われた。当時から病原菌の感染力は極めて弱いことが分かっていたが、裁判官らは熊本県の国立療養所「菊池恵楓園」や隣接する刑務所に設置された特別法廷で手袋をし、箸で証拠品を扱った。男性は無罪を訴えていたものの、刑は62年に執行された。現在遺族が第4次再審請求中。 企画展は「公正裁判を要求し、潔白を主張する」とつづった男性のノートや刑務所の略図など資料約30点を展示。恵楓園自治会の志村康会長(91)と太田明副会長(80)のインタビュー映像も上映している。