ブレンド(10月30日)
1日に20億杯。コーヒーは、世界で最も消費量の多い飲料の一つ。豆の栽培地は約70カ国に上る。ドリップコーヒー、エスプレッソ、カフェオレ…。抽出方法や飲み方はさまざまだ。実に奥が深い▼ブレンドは、多様な香りや味わいを生み出す。豆の産地や品種の組み合わせで可能性は無限に広がる。会津大はブラジル、インド、中国など7カ国の豆を混ぜ合わせたドリップパックを販売している。オリジナル商品として、ひそかに人気を集める▼発売に至ったのは、グローバルな学風だからこそ。コーヒー豆生産国を含む40カ国の教員、留学生約250人が学内に集う。英国の教育専門誌が発表した今年の世界大学ランキングで上位千校に8年連続で入り、国内では総合11位。「国際性」の評価が高く、この指標に限れば東京大などを抜いて国内トップだ。キャンパスに国境はなく、学友の心は自然に解け合う▼各地で紛争はやまず、緊張が世界を覆う。乱世の指導者が手にするコーヒーは、どんな香りを漂わせているのか。相手の立場を思いやり、心の交わるブレンドが実現すれば、融和の道が開けるかもしれない。調合自在の世界の粒は、それが可能だと教えてくれる。<2024・10・30>