富士フイルム初のシネマカメラ「GFX ETERNA」を見てきた わざわざ動画専用機を開発した背景とは?
幕張メッセ(千葉県千葉市)で11月13日から15日まで開催された映像機器の祭典「Inter BEE 2024」では、富士フイルムが開発発表したばかりのシネマカメラ「GFX ETERNA」が同社ブースに展示されていた。 【写真を見る】富士フイルムが初めて作ったシネマカメラをじっくり見る【全6枚】 GFX ETERNAは、富士フイルム初のシネマカメラで、同社のGFX同様、フルサイズセンサーと比べて1.7倍大きなラージフォーマットセンサーを採用している。イメージセンサーと映像エンジンは、フラグシップモデル「GFX100 II」に搭載されたものと同じだが、本格的な映像制作に必要な機能を盛り込んだ。
なぜ? 専用機を作った理由
なぜ動画専用機の開発にいたったのか。ブーススタッフによると、映画監督などにGFX100 IIを使ってもらったところ「出てくる絵は最高」という評価だった一方で、「インタフェースに対応していない、レンズコントローラーに対応しているレンズがない」といった声があったという。「出てくる絵は最高」なので、オールドレンズをマウントアダプターで変換したり、HDMI端子を無理やり工夫したり、何とかして使うケースもあったようだ。 これに加え「弊社ではもともと箱レンズ(放送用レンズ)やシネレンズを出しているが、使われているのは大多数が他社製のカメラ。そこのもどかしさもあり、システムとして自社で揃えたかった」(ブーススタッフ)としている。 GFX ETERNAではこうした課題を解消。マウントはGマウントで、変換アダプターによりPLマウントのレンズにも対応する。GFX ETERNAに最適化したシネレンズも開発中で、展示機には同時に開発発表されていた32-90mmのパワーズームレンズが取り付けられていた。
OSは「ゴリゴリにカスタム」
なお、仕様についてはまだ多くが明かされておらず、外観とセンサー/エンジンぐらいの情報しか出ていない。収録フォーマットや収録解像度についてスタッフにたずねても「決まっているがまだ明かせない」とのことだった。OSは、GFX100 IIをベースとしつつも「ゴリゴリにカスタムしている」(ブーススタッフ)という。特に大変と語るのが新設されたインタフェース周りで、映像制作ではさまざまなメーカーのデバイスを接続することが多く「何を繋げられるかわからない」と、制御面が悩みのタネのようだった。 また、ローリングシャッターやフォーカスなども一から見直している。ETERNAにも搭載され、ラージフォーマットセンサーの中で高速の部類に入る独自センサー「GFX 102MP CMOS II HS」だが、ローリングシャッター歪みはどうしても多少出てしまうという。「ローリング歪みは課題として捉えている。(ハードウェアの)限界はあるがいかにそれを感じさせないようにするか」と、ソフトウェア面でも対策を検討しているとのことだった。 なお、静止画は撮れないそうだが、本体側面にある「GRAB」ボタンを押すと、動画から静止画を切り出して保存することはできるという。カットのアングルなどを素早く共有するためのものとしている。 競合について聞くと「ラージフォーマットのところには勝ちたい」と、同じくラージフォーマットセンサーを搭載したシネカメラを出しているブラックマジックなどの名前が挙がった。 肝心の価格については「未定」としつつも、動画専用機としての開発コストなどもあり、GFX100 IIよりは高くはなるという。ただ、センサーなどのコアパーツは共有していることから「飛び抜けるほど上がりはしない」とヒントをもらえた。GFX ETERNAの発売は2025年中を目指している。
ITmedia NEWS