「日本人は忘れてはいけない」 宮崎駿監督が語ったフィリピン人虐殺の歴史
「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞を受賞した宮崎駿監督(83)が、フィリピンの首都マニラで16日に開かれた授賞式で、フィリピン人虐殺の過去を「忘れてはいけない」とするメッセージを寄せた。宮崎さんが「受賞の喜び」の代わりに伝えようとしたこととは――。 【画像】日本軍に処刑されたフィリピンの英雄 マグサイサイ賞は1957年、当時のフィリピンの大統領の死去後に創設され、毎年、アジア地域で平和や社会のために尽力した個人や団体に贈られている。 今年は、宮崎さんをふくむ4人と1団体が対象となった。式では、宮崎さんが平和や環境保全など多くの社会課題を題材にしてきたと紹介した上で「社会課題への理解を助けた」と称賛した。 その後、スタジオジブリ取締役の依田謙一さんが、宮崎さんのメッセージを代読した。 《マグサイサイ賞の名前を初めて聞いたのは、子どものころでした。学校の校庭だったと思いますが、先生から、こういう賞ができたと聞いたという話があり、印象的な名前だったことから、心に残っていました。この受賞を機に、改めてフィリピンに思いをはせました。2016年、当時の天皇、皇后両陛下が、ここマニラを訪れ、マニラの市街戦に触れながら、命を失った多くの戦没者を慰霊しました。日本人は戦時中、ひどいことを散々したんです。民間人をたくさん殺しました。日本人はこのことを忘れてはいけません。ずっと残っていることです。そういう歴史がある中で、フィリピンからマグサイサイ賞を贈られるということを、厳粛に受けとめています。本当にありがとうございました》 ■「忘れるも何も知らなかった」 このメッセージが報道されると、SNSでは賛同の声が広がる一方で、「忘れるも何も知らなかった」との声もあった。 マグサイサイ賞を運営する財団に、宮崎さんのメッセージの受け止めを聞くと、次のようなコメントが寄せられた。 「宮崎さんのスピーチは、より良い両国の未来のために、過去の歴史と向き合い、記憶する重要性を思い起こさせてくれました。私たちもマグサイサイ賞の理念を通じて、相互理解を推進していきたいと思います」
朝日新聞社