サポーターと連携 大阪に「無農薬野菜応援レストラン」
小口融資を市民から募って事業資金を調達するクラウド・ファンディングが脚光を浴びる中、無農薬野菜応援レストランを運営する株式会社KIMIYUGlobal(本社・大阪市、松本達也社長)がこのほど、新たにクラウド・ファンディングで開店資金を集め、5店舗のオープンにこぎつけた。クラウド・ファンディングを採用したのは、当初から信頼し合えるサポーターと事業を展開するため。開店前に出資者を招いて試食会を開いたところ、さまざまな意見を得ることができ、開店時からのサービス向上に生かされた。
30種類の無農薬野菜を15種類の調理法で
この店舗は大阪市北区豊崎の無農薬野菜応援レストラン「ベラポルト」。30種類の無農薬野菜を、15種類の調理法で料理した野菜の盛り付け「ポルト」などが話題を呼ぶ。 KIMIYUGlobalは創業時から無農薬野菜に着目し、無農薬野菜を生産する農家の応援を目指してきた。松本社長は「無農薬野菜の生産農家にとって、最大の課題は販路の開拓。そこで、なるべく多くの無農薬野菜を安定して仕入れることが、いちばんの農家支援策になる」と考え、「目配りが行き届く規模の店舗を複数開店し、無農薬野菜の仕入れを増やすことを心掛けてきた」という。 松本社長は5店舗目の開店準備段階で、クラウド・ファンディングの活用を決意。クラウド・ファンディング運営会社ミュージックセキュリティーズ(本社・東京都千代田区、小松真実社長)と提携し、「無農薬野菜応援!レストランファンド」を開設。3月に出資を募ったところ、市民投資家約150人が同社の無農薬野菜応援プロジェクトに共感して応じ、同社は満額の315万円を調達することができた。
開店前の試食会で意見聞き軌道修正
事業者にとってクラウド・ファンディングの利点は、資金調達の機動性の高さだが、松本社長は「信頼し合えるサポーターの獲得が最大の魅力」と指摘する。 飲食店の最初の試練は開店直後にやってくる。万全の態勢で開店に臨んだつもりでも、従業員の経験不足から、調理に手間取ったり、顧客への応対に混乱が生じかねない。「待たされた割に、おいしくなかった」などという低評価が、開店時にネット上などで広まってしまうと、短期間での名誉挽回は、ことのほかむずかしい。 こうした開店時のミスマッチを解消するため、開店前からクラウド・ファンディングでめぐり合った出資者の力を活用したい。 「出資者は当社のビジネスパートナーでサポーター。店舗が成功することを期待しており、そのための支援を惜しまない。開店前から出資者の意見に耳を傾けることで、円滑に開店して店舗を軌道に乗せることができる」(松本社長) 開店に先立ち、出資者の一部を内覧試食会に無料招待。店舗の仕上がり具合を公開し、料理を振る舞った。松本社長は「盛り付けや味加減に関し、さまざまなご意見やご提案を聞かせていただいた。店舗スタッフと協議し、必要な修正を加えて、しっかり開店を迎えることができた」と、サポーター効果を強調する。