「え、君も経験者?」友達づくりから始めてもらったラグビー部の新歓、コロナ禍が明けて起きた変化
1年生って頼もしい
頼りになるのは経験者の存在だ。わからないことがあれば、とにかく経験者に聞く。先輩はもちろん、後輩にも聞く。入ったばかりの1年生の経験者にも、恥ずかしがらず、何でも聞く。「面倒そうな顔一つせず、何でも教えてくれる。頼りになる後輩たちです」 その代わりと言っては何だけれど、後輩の初心者たちの気持ちがよくわかる。頭も体もこんがらがりがちな、後輩たちの気持ちが。「パスって、やっぱり難しいよね」「大丈夫。オレだって、できるようになったから」。何げなく話しかけながら、こわばる気持ちを、ほぐそうとしている。 先輩も後輩も、高校時代のバックグラウンドも、関係ない。いろんな色のみんなが一つになって、何かをめざしたい。そういう時間を体感したくて、高橋は都立大ラグビー部のドアをノックした。 ドアを開けたら、思い描いた通りの濃密な時間が待っていた。 その時間、あと2年足らず。
中川文如