【専門家解説】緊迫するガザ情勢の行方… イスラエル軍の狙いは?【バンキシャ!】
今回の衝突で、周辺国への影響も出ています。 まずイスラエルの隣国、レバノンです。衝突以降、イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」がイスラエル側に攻撃を行い、散発的な戦闘を繰り返しています。この戦闘に巻き込まれ、ロイター通信のスタッフが死亡しました。 続いては、ハマスを支持している国、イラン。衝突への関与をこれまで否定していましたが、ロイター通信は14日、ハマスとの協力継続で合意したことを伝えました。 また、イスラエルと国交正常化交渉を行っていたサウジアラビアは、ロイター通信によると、13日に交渉を停止したことを明らかにしたということです。 ◇ ──サウジアラビアがイスラエルとの国交交渉を停止はどういう意味をもつ? 田中教授 「今回、ハマスによる攻撃の原因、理由の一つにサウジアラビアはイスラエルとの間で関係を正常化して、パレスチナ問題を完全に脇に置いてしまうんじゃないか。すなわち、自分たちのことを忘れてしまうんじゃないかという危惧があったと考えられます。その点では、サウジアラビアはこういう非常事態になったときに、アラブの盟主として、イスラム世界の盟主として、イスラエルと国交回復をする、あるいは国交正常化するという交渉を続けるというのは、立場的によくないので止めざるを得なかったと思うんですよね。逆にいうと、ハマスの狙い通りになったというところはあります」 ──この状況の終息への糸口は? 田中教授 「そこが非常に悩ましいところです。イスラエルのネタニヤフ政権にとってみれば、当然の報復をハマスに対して徹底的に行うということをやらないと、自らの政権基盤がゆらいでしまいます。一方で国際社会はすでに態度が変わってきて、イスラエルに一方的にガザを瓦礫の山にして、人道的な危機をここで生じるようなことをさせてはならないと思っていますので、なんとかここで対応を取ろうとしているのですが、やはり、イスラエル側の理屈でいうと、相当な攻撃をハマスに加えて無力化したということを国内的に言えるところまでは止めないんじゃないか、と危惧しています」 (10月15日放送『真相報道バンキシャ!』より)