【専門家解説】緊迫するガザ情勢の行方… イスラエル軍の狙いは?【バンキシャ!】
──地上侵攻のタイミングはいつになるとみていますか? 田中教授 「十分準備はできていると思うんですけども、人質の問題、それから国際社会側からの慎重姿勢などが徐々に出てきているので、踏み切るのに決断を要するような状況になってきていると思います。ですが、状況から考えるといつ起きてもおかしくない。なぜかというと、時間をかければかけるほど、ハマスの方に再攻撃をするための体制の立て直しの機会も与えてしまいますので、これはあまりよろしくない。それから人質を取られているわけですが、ガザに対する、いわゆるライフラインの遮断を行っている以上、人質の環境も相当悪くなっていくので、長い間これをやっていくわけにはいかない。遅かれ早かれ攻撃には踏み切るということになります」 ──民間人の避難は間に合うのでしょうか。 田中教授 「国連もいろいろいっていますけれども、全く現実的ではない。100万人を超える人間を身の回りの品だけとはいえ、電車のような公共交通機関がないところ、ほぼ徒歩などを通じで移動をさせることの問題。それから行った先で彼らを受け入れるための設備があるわけでもない。もっとひどいところに、もっとひどい状態の人たちを押し込めるだけになるので、時間的にも間に合わないですし、行った先々で新しい問題をまた作り出すことになるだけです」 ──地上侵攻が行われた場合に、イスラエル軍は何を最終目的にどういった攻撃を行うと考えられますか? 田中教授 「今回、ネタニヤフ首相もはっきり言っていますが、彼自身もこのような攻撃を受けてしまったということで、政治的な失態にもつながっています。ですから振り上げた拳を下ろさずにはいられない、どこに落とすかというと、ハマスに落とす。それは組織を徹底的に破壊すると。殲滅(せんめつ)するという言葉を使っていますが、その決意は変わらないと思います」 ──“徹底的に殲滅(せんめつ)する”というのは、かなり大規模な攻撃が予想されますか? 田中教授 「空爆でかなりの領域を潰し、そのあとに反撃ができないことを見越した上で、戦車が投入されるということになると思います。今回ハマスの側が対戦車砲など、これまで持っていなかったような対戦車対策をしてきているので、その脅威を取り除かない限りは、イスラエル軍の地上部隊もそれなりの被害を被ることになってしまう」