男だって生きづらい 「男は強くあれ」の呪縛とは
きょう11月19日は、男性の健康などを考える「国際男性デー」です。「男は強くあれ」「弱音をはくな」といった意識と男性の生きづらさについて考えるイベントが先日、行われました。 11月16日にジェンダー平等を推進する「一般社団法人あすには」が東京都内で行ったイベントには、約20年間、アルコールやギャンブル、DVなど依存症の問題に関わってきた精神保健福祉士の斉藤章佳さんや、恋愛とジェンダーをテーマにコラムやラジオで発信してきた清田隆之さんらが登壇し、男女の参加者とともに、男性が「男は泣くな」「男は働け」「男は強くなければ」などと言われ続けることで、周囲の人も自分自身をも追い詰めてしまう可能性について考えました。
斉藤章佳さんはアルコール依存症などのほか、2500人以上の性犯罪加害者の治療に関わった経験から、依存症の陰には男尊女卑的な発想があるのではないかと指摘しました。「男らしさ」「女らしさ」という社会から期待された規範にとらわれて、生きづらくなり、依存症につながるのではないかということです。 「男は仕事、女は家庭」「女性が男性に忖度する」といった発想の元で、女性は介護や育児などの悩みなどから万引きや摂食障害に、男性は「強さ」や「勝つこと」が求められ、長時間労働などで苦しくても弱音をはけないことなどから、アルコールやギャンブルなどで気を紛らわせるうちに、依存症になる例が多いと感じると述べました。 そして、男尊女卑の価値観は、家庭内で主に同性の親から植え付けられることが多く、学校で芽を出して、メディアから水を与えられ、社会によって花開くと説明。斉藤さん自身も、実は男尊女卑的な発想を植え付けられてきたと話し、学生時代サッカーをしていて、「男は強く」といった環境の中で、実は食べては吐くを繰り返す摂食障害になっていたが、それを誰にも言えなかった経験があるということです。 その後、仕事として、依存症や性加害者の治療にあたる中で、その背景にある「男尊女卑」「男らしさ」を手放さざるを得なくなったと話し、依存症や生きづらさを脱するには、「男はこう」「女はこう」という社会のゆがみを変える必要があると述べました。