「ライオンズで監督ができれば一番」デストラーデ氏が語った外国人選手“立て直し”と「来季への秘策」
「外国人選手として、こんなに長く1つのチームと関係を持つのは珍しいことかもしれない。そういう意味でも、ライオンズはファミリーなんデス」 【写真あり】”最強助っ人”デストラーデ氏がみせた「あのポーズ」 そう笑顔で話すのは、1990年から3年連続でホームラン王に輝き、ファンからは“オーレ”の愛称で親しまれた、埼玉西武ライオンズOBのオレステス・デストラーデ氏(62)だ。 1989年から合わせて5年間在籍し、秋山幸二、清原和博と最強のクリーンナップを構成。ライオンズ“黄金時代”を支えたレジェンドだ。 ◆低迷原因の一つが“助っ人”外国人選手の不振 だが、デストラーデ氏の“ファミリー”であるライオンズは、最終戦を前に最下位が確定。5月には成績不振から松井稼頭央監督が休養し渡辺久信GMが監督を代行するなど、波乱のシーズンを過ごしてきた。 そんな中、不振脱却への一手として7月から「スペシャルアドバイザー」に招聘されたのがデストラーデ氏だった。 そんな彼が以前から公言しているのが、監督就任への熱い思い。そこで、デストラーデ氏にそのことをぶつけみると、 「選手もやり、何十年も解説をやって、年間150戦ぐらい見てきて、野球を学んできました。いつかは、それを活かせる場があればと願ってきました。自分はライオンズでプレーしていたし、ライオンズで監督ができれば当然、それが一番です」 と意欲をみせる。 そんなデストラーデ氏に最も期待されていることが、外国人選手の立て直しだろう。 今シーズン低迷した原因の一つが、“助っ人”外国人選手が不振だったこと。とくにメジャー114本塁打の実績を引っ提げ、長距離砲として期待されたヘスス・アギラー選手の離脱は大きかった。 だが、デストラーデ氏はアギラー選手に同情的だ。 「ケガの影響が大きいと思います。慣れないグラウンドでのプレーが、気付かないうちに負担をかけていたのかもしれません。本人とも話をしましたが、春季キャンプ中は痛みなどなく、プレーに影響はありませんでした。これは予測できないことですし、34歳のベテランの潜在的な能力は高く評価しています。無事に手術を終えたので、しっかり回復するまで見守りたいと思っています」 また、もう一人の新外国人選手のフランチー・コルデロ選手に関しても、 「日本の野球に慣れることに“想定より多くの時間がかかってしまった”ということだと思います。開幕当時はまだ苦戦していて、日本の野球に慣れるために、たくさん打席に立てればよかったのですが、打撃力の弱いチーム状況をみたときに、それが叶いませんでした。いまはファームでの調整を経て、だいぶ日本野球に慣れてきた印象があります。ファームでも成績を残している打者の一人ですから、1軍で活躍してくれることを期待しています。入団前から彼のことを知っていましたが、潜在能力は高いですし、30歳とまだ若いので期待しています」 と分析。近年は日本人投手のレベルが上がっており、外国人選手が1年目から結果を残すことが難しくなっていることからも、2人の来シーズンの巻き返しを見据えている。 ◆将来“スター候補”の意外な名前 そして、デストラーデ氏が将来の“スター候補”と話すのが、7月末に育成から昇格したアンソニー・ガルシア選手だ。 「彼の身体能力の高さはとても魅力的で、まだ23歳と若いこともあって、吸収することばかりだと思います。たくさんの経験を積ませ、時間をかけて育てていく選手。もともとスイッチヒッターで、左に専念する決断をしたものの、NPBの1軍レベルの左投手との対戦成績が少ないことが、うまく結果に繋がらない要因とみていますし、本人も苦戦していると思います。ただ、左に集中したのは正しい選択だと思っています。これからたくさんの経験を積んでいけば、将来スター選手になってくれるでしょう」 今季はすでに86敗(9月19日現在)も喫しているライオンズ。断トツの最下位だけに、来季へ向けた立て直しは難しいものになりそうだ。だが、デストラーデ氏は決して悲観していない。 「1軍のみならず、ファームの様子も定期的にみることができ、非常に良い機会を与えてもらったと思います。1軍の課題が打撃であることは明らかで、投手力についてはパ・リーグのみならず12球団でも上位と素晴らしい。投打のバランスが整えば、かつてのライオンズを取り戻すことができると信じています。ファームにも素晴らしい若手選手がたくさんいます。今年、1軍での出場機会が少なかった選手たちがベテラン勢とともに、チームに加わってくれることに期待したいです。 勝ち負けの数だけ見ると歴史的な低迷なんですが、でもよく見ると1点、2点差での接戦負けが多い。数字ほど悪い状態ではないと思っています。平均得点が1点上がったとしたら、あっという間にAクラスなれる。ファンの皆さん、もう少し辛抱してください」 そしてチームがどんなに低迷しても、熱い声援を送り続けるファンがいることに、デストラーデ氏は感動を隠さない。 「ライオンズは歴史的な球団で、素晴らしい組織です。そして、35年間関わってきた私が本当に好きなのは、ライオンズには信じられないほどのライオンズを愛するファンがいるということです。家族のように受け継がれてきたファンですね。35年前に子どもだった人が今は大人になって、家族で観戦に来てくれていますし、黄金期やこれまでの歴史を愛してくれていると感じています。幅広い世代のファンがライオンズを愛してくれていることが私はとてもうれしいです。そんなライオンズだからこそ、私は何でも奉仕したいと思います。今年はアドバイザーとして仕事もしていますし、ライオンズからであれば、なんでも受け入れられる気持ちです」 “ライオンズ愛”が全身から溢れているデストラーデ氏。来シーズンへの巻き返しは、彼がキーマンになるかもしれない――。 取材・文・PHOTO:荒木田 範文(FRIDAYデジタル芸能デスク)
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