【陸上】西岡を筆頭にハイレベルな男子100m 日本選手権覇者の落合が800mに登場!/インターハイ展望(男子編)
高校生アスリートによる真夏の祭典、全国高校総体(インターハイ)の陸上競技は7月28日~8月1日の5日間、福岡県福岡市の博多の森陸上競技場で開かれる。エントリーリストや持ち記録(7月24日時点)を中心に、男子種目を展望する。 800m日本記録保持者・久保の記録更新なるか 6m20超3人でハイレベルな走幅跳/インターハイ展望(女子編)
100mは西岡を筆頭にハイレベル 400mは史上初の46秒台4人決着なるか
100mはかつてないハイレベルな争いとなる可能性が高い。優勝したU20日本選手権の予選で高校歴代3位を更新する10秒20(-0.2)をマークするなど、10秒2台で4度走っている西岡尚輝(東海大仰星3大阪)が大本命。持ち味のスタートダッシュと高速ピッチで序盤からリードする展開が得意だ。 ライバルたちも強力だ。10秒29の自己ベストを持つアブラハム光オシナチ(東大阪大柏原3大阪)は、後半で追い上げた大阪府大会で西岡に先着。昨年は秋の国体で2位、U18大会では優勝している。西岡と同じ前半が得意の小室歩久斗(つくば秀英3茨城)は、U20日本選手権で自己ベストの10秒31で2位。昨年も決勝に残っており、勝負強さが持ち味でもある。 7月に高1初の10秒2台となる10秒26(+1.9)の快記録を残した清水空跳(星稜1石川)も上位候補に浮上。昨年の全中では200mを制している。西岡、アブラハムに次ぐ近畿大会3位で、3年前の全中王者・年綱晃広(滝川二3兵庫)も昨年の決勝経験者。昨年のU18大会3位の山﨑天心(城西3東京)は、U20日本選手権では5位に入っており、10秒44を出している。 北九州大会覇者の宮脇英(佐伯鶴城3大分)、東海大会優勝の土屋太陽(富士見3静岡)らも10秒4台を持つなど、決勝進出ラインも高水準となりそう。条件次第ではあるが、2013年に桐生祥秀(洛南・京都/現・日本生命)が樹立した10秒19の大会記録にどこまで迫れるか注目だ。 200mは昨年のU20日本選手権を制している若菜敬(佐野3栃木)と、今年の同選手権で優勝している佐藤克樹(東京学館新潟2新潟)が軸となりそうだ。序盤から先行する佐藤と、後半型の若菜と互いの強みがぶつかる。100mでも上位候補に挙がる宮脇、年綱、山﨑に加え、榎陸斗(保土ケ谷3神奈川)や會田聖也(つくば秀英3茨城)による上位争いは混戦模様だ。 46秒台に5人が並ぶ400mは例年以上の大激戦が予想される。U20日本選手権で400mハードルとの2冠を果たし、前回2位の菊田響生(法政二3神奈川)がシーズン序盤から好調だ。後半は他の追随を許さない強さがあり、U20日本選手権では46秒52をマークしている。 菊田を追うのがU20日本選手権では46秒57で3位だった大石亮太(浜松開誠館3静岡)と近畿勢だ。大石は春先のケガで出遅れていたが、静岡県大会、東海大会と着実に調子を上げてきている印象だ。近畿大会では久保拓己(滝川二2兵庫)が46秒69、橋詰竜輝(社3兵庫)が46秒74、岸本恭汰(洛南3京都)が46秒88と高速レースを展開している。 同一レースで高校生3人が46秒台をマークしたのはインターハイでは過去に4度。4人以上が46秒台に突入すれば史上初で、博多の地で実現するかもしれない。 男子800mには日本選手権覇者となった落合晃(滋賀学園3滋賀)が登場する。U20アジア選手権で金メダルに輝くと、5月の静岡国際で高校新記録をマーク。6月の日本選手権ではシニア選手を相手に終始先頭を譲らず、高校記録を1分45秒82まで更新する日本歴代3位の快記録をたたき出した。今大会も圧倒的なパフォーマンスを披露するか。 後続も決してレベルは低くない。昨年のU18大会覇者で、6月のU20日本選手権で高校歴代4位の1分47秒80をマークした吉澤登吾(桐朋3東京)、南関東大会で1500mと2冠を果たしたフェリックス・ムティアニ(山梨学院2山梨)、400mのスピードもある山鹿快琉(前橋育英3群馬)らが落合のハイペースに対応できれば好記録が続出する可能性もある。 1500mでは5月の木南記念で3分37秒82の快記録を出したムティアニが優勝候補筆頭に挙がる。南関東大会でも自ら作ったハイペースで3分41秒93をマーク。流れに乗った阿部宥人(西武台千葉3千葉)や山田晃央(早稲田実3東京)ら5位までが3分46~47秒台だった。高校歴代6位の3分44秒38を持つ川口峻太朗(洛南3京都)、昨年4位の濵口大和(佐久長聖3長野)が追う。 ランキング上位10人を13分台が占める5000mは、留学生が優勝争いの中心。昨年3位のエリウッド・カヒガ(仙台育英3宮城)、同4位のジェームス・カルリ(青森山田2青森)、ガユ・サミュエル(札幌山の手2北海道)はいずれも13分30秒台の記録を持つ。 持ち記録では日本人選手も引けを取らない。4月に高2最高となる13分34秒60をマークした増子陽太(学法石川2福島)は、どれだけ状態を戻せているか。昨年8位で1500mのスパート力も兼ね備える濵口も昨年13分38秒4をマークしている。南関東大会を独走ながら13分52秒28で制した鈴木琉胤(八千代松陰3千葉)、井上朋哉(洛南3京都)も力がある。 110mハードルは下級生に勢いがある。優勝候補は南関東大会で高2最高を11年ぶりに0.01秒塗り替える13秒91(-0.4)をマークした古賀ジェレミー(東京2東京)だ。インターハイを連覇した古谷拓夢(相洋・神奈川)の記録を更新し、村竹ラシッド(松戸国際・千葉/現・JAL)の大会記録に並んでいる。古賀を上回る可能性を感じさせるのが、昨年の全中覇者の髙城昊紀(宮崎西1宮崎)。規格は異なるが、U20日本選手権で、古賀や大学生を抑えて優勝している。橋爪蓮翔(皇學館3三重)や、松前大雅(星陵3兵庫)は3年生の意地を見せたい。 高校生史上3人目となる49秒台突入を果たした菊田が大本命の400mハードル。400m同様に終盤での強さが際立っているが、逆に前半の走りは課題でもある。為末大(広島皆実)が持つ49秒09の高校記録にどこまで迫れるか。U20日本選手権で50秒49をマークした橋本悠(東農大二3群馬)、51秒17で南関東大会2位の葛西悠貴(国分寺3東京)、白髭怜士(北摂三田3兵庫)は今季に入って大きく記録を伸ばしている。2度目のインターハイとなる川上大智(観音寺総合3香川)ら51秒台でも選手が集まっており、入賞争いは熾烈となりそうだ。 昨年、永原颯磨(佐久長聖・長野/現・順大)が高校記録(8分32秒12)を樹立した3000m障害では、後輩の佐々木哲(3年)がその記録に挑む。長野県大会で8分50秒04、北信越大会では高校歴代2位の8分39秒15をマーク。U20日本選手権では大学生らを差し置いて快勝している。8分41秒21を持つキプゲノ・ケネス(札幌山の手3北海道)、北九州大会優勝の牟田颯太(鎮西学院3長崎)、近畿大会王者の加嶋翼(洛南3京都)が佐々木を追う構図が予想される。 5000m競歩は近畿勢に力がある。京都府大会で20km競歩世界選手権2連覇の山西利和(堀川高/現・愛知製鋼)が持つ大会記録を11年ぶりに更新した山口輝(洛南3京都)が20分32秒10でランキングトップ。西脇工(兵庫)コンビの山田大智(2年)と玉春汰造(3年)が20分30秒台の記録を持つ。昨年3位の楠岡史朗(慶誠3熊本)や、昨年の国体少年共通5位の中島壮一朗(舟入3広島)ら実績ある面々もおり、上位争いは混沌としている。