【バスケ】渡辺雄太、八村塁の代表批判に異例の15分半激白…「悪者は1人もいない」/発言全文
バスケットボールBリーグ1部(B1)千葉ジェッツの渡辺雄太(30)が、日本協会へ不信感を示している八村塁(26=レイカーズ)の件について自ら言及した。 【写真】目を合わせることなくタッチを交わすホーバス・ヘッドコーチと八村 28日、都内で「りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2025 IN FUNABASHI」へ向けた会見に出席後、自ら報道陣へ説明の場を設定。記者からの質問には応じない形式で、問題のきっかけ、自身の見解、八村と日本代表のトム・ホーバス監督への思いなどを15分30秒にわたって口にした。 異例ともいえる取材対応で語った言葉(全文)は以下の通り。 ◇ ◇ ◇ 塁がいろいろな発言をして、それが変な方向へいってしまっています。臆測が臆測を呼んで、事実とは異なることが報道されてしまっています。個が攻撃されることもあると感じていて。僕はNBAでやってきて、Bリーグに帰ってきて、日本代表でやってきた身として、客観的な事実を述べて、その後に自分の感情を言わせていただければと思います。基本的は僕が話をして、皆さんからの質問には答えない形式となるので、そこはご了承いただければと思います。 まず、ここまできたら隠しようがありませんが、塁とトム・ホーバス・ヘッドコーチとの関係性が良くなかった。それは事実として実際にあります。そのきっかけはどこだったのかといえば、(昨夏の)W杯が終わった後の記者会見でトムが発した発言について変な切り取られ方をして、それを塁が目にして、怒ったところです。 その後、僕はすぐに塁に連絡をとって、あの時のトムの発言の内容は塁を敵にする発言ではなかったと説明したんですけど、塁からすれば「仮にそうだとしても世間からそう思われている時点でトムの発言はまずかった」と話していました。 あの時のトムの発言ですが、W杯が終わった直後に塁が五輪に必要かを尋ねられて「代表に参加したいなら、彼から連絡してほしい。八村選手にはいてほしいけれど、いないのであれば、今のチームで勝つ自信がある」という趣旨のことを言いました。それについて僕から詳しく説明をすると、僕も塁もワッサーマンというエージェンシーを使っていますが、トムと塁の関係性が悪くなる前から、ワッサーマンは塁に対してNBAのシーズンに集中してほしいと。トムを含めて、ウィザーズ時代にコーチと選手の関係であったコーリー・ゲインズ・アシスタントコーチも含めて、ワッサーマンが塁との連絡を完全に遮断していました。トムは塁に対して、連絡をとる手段が一切なかった状態です。それはアシスタントコーチを含めてです。なのでトムの「彼から連絡してきてほしい」というのは、連絡する手段がないという意味で(逆にトムから)連絡をしようと思ったら、協会、ワッサーマン、チームと、間に2人以上は入る状態になる。とてもじゃないですけど、そんな状態で良いコミュニケーションがとれなくて。なのでトムの発言は「連絡をとれないから、塁から連絡をしてほしい」という意味でした。 そのうえで「塁がいなくても勝てるチームをつくる」という発言について、皆さんは分かっていただけると思いますが、沖縄(W杯)を戦った僕たちへのリスペクトだったり敬意の表れだったりするわけで。もしそこで「五輪は塁がいないと勝てない」という発言をすれば、僕たちも「その発言はおかしい」となっていた可能性はあります。あの場面に僕たちもいたので。なのでトムは僕たちへリスペクトを表した上で、塁がいなくても勝つチームをつくる自信があるという発言をしてくれたのが実態です。 今の話を聞いて分かったと思いますが、誰が悪いとかではない。(エージェンシーの)ワッサーマンとしては、塁は大事なクライアントになるので、NBAのシーズンに集中してほしくてトムとの連絡を遮断していて、それは理解できます。僕は代理人の担当が違いますが、僕もシーズン中に日本代表に関する連絡があった時には、「俺が間に入ろうか」と言ってくれていました。ただ僕は、トムやコーリーとずっと前から関係があって、アジアカップも一緒にやっていたので「自分から連絡をとるから大丈夫」と個人的に連絡をとってはいたんですけど。ですのでまず、トムの発言にはこういう事実がありながら、変な記事になってしまって、トムと塁はそれ以降も直接連絡をとれなかったので、そこから関係性が修復できずに続いていたのは事実です。そこは僕や協会を含めて、彼ら2人がより良い関係を築いていけるように、コミュニケーションを活発にとっていけるようにしたいと思っています。 ここまでが事実です。あとはいろいろありますが、ここで僕がいちいち全部を話すつもりはないです。きっかけはまずそこだったということです。悪者は1人もいないと皆さんにお伝えしたかったことです。 ここからは僕の感情を話します。先にお伝えしますが、今回の件は塁に対して「僕なりの意見をメディアの前で話す。塁と対立する気はない」と伝えて、彼からも「大丈夫」と連絡をもらっている。なので今から僕が言うことについて「渡辺対八村」という構図をつくるのはやめていただきたいです。 その上で話をしますが、僕はトムが大好きです。僕は日本代表のヘッドコーチとして誰よりもふさわしいヘッドコーチだと思っています。これは僕だけではなく、代表に関わるほとんどの人がそう思っていると思います。塁とトムの関係はあの件がきっかけでうまくいかなかった。なので百歩ゆずって、塁がトムのことをよく思わないのは分かります。それを公で言うべきだったかは別ですが、それは選手やトムも理解している点じゃないかなと思います。 ただ、塁の発言がきっかけで、トムがよく思われていないという記事が出たり、全部がうそみたいな記事が出てしまって、見る人はどうしても信じてしまう。そこは僕も不本意です。トムとも今回の件で連絡をとらさせていただいていますが、トムは正直に「かなりしんどい」と。五輪後も日本代表の仕事を受けるか悩んだ中、今回やると言ってくれたのに、こういう形でトムの功績や尽くしてくれたことが否定されているような状態なので。トムは正直に「しんどい」と言っています。ただ、トムがしんどいと言っているから僕が守っているというわけではなくて、純粋にトムをリスペクトしていて、トムのもとでバスケットをやれて良かったと思っている人間なので。今回の続投もすごくうれしかったです。 先ほど言い忘れましたが、トムの続投について、塁が「僕には連絡がなかった」という話ですが、トムからすれば連絡をする手段がないんです。(2人の)間がどうなっていたのかは分からないですが、実際に僕はトムから直接連絡をもらいました。なのでこれに関してもトムには非がなくて、トムは連絡をとれない状態なので、これもしょうがないのかなと思っています。 話の続きですが、今回の件でもトムはよくあの状態で(アジアカップ予選の)モンゴル戦、グアム戦と日本を率いて、勝利へ導いてくれたと感じていて。僕だったら投げ出してもおかしくない状態というか、精神的に相当しんどいと思いますし、応援してくれていると思った人たちが手のひらを返したかのように悪者に…。もちろん、全員が全員ではないですが、そういう状態になっているので。今回の件でトムが辞めさせられたり、自分から精神的にしんどくなって辞めてしまうことが万が一あった時には、正直許せないというか。それは塁に対して許せないのではなく、こういう状態をつくったこと。記事だったり、世間の言葉だったり、それが許せないなと思います。先ほども言いましたが、今の代表のメンバーはトムを慕っている人がほとんどです。この件でトムが引くようなことがあれば、おそらく代表は崩壊していくと感じています。 トムと塁のきっかけ、僕の個人的な意見を伝えました。僕も協会に対して意見をさせてもらうことはありましたが、それは水面下でしていて、公にすることではないと思っています。今回の件が起きた時も、僕は表に出るつもりは一切なくて、水面下でやっていればいい話だと思っていました。ただ、あまりにも事が大きくなって、これ以上トムに負担がかかるのは嫌だったので、こういう形で皆さんの前に出させていただく方法をとりました。塁は塁で、塁のシーズンに集中してほしいと思っています。僕はJBAを含めて、トムや塁とコミュニケーションをとりながら、これからの日本代表をよくしていこうとやっていくつもりです。 僕からのお願いとして、この件は中でやっていけばいいと思っていて、わざわざ公にして「こういうことがあった」「こういう解決をした」と言わなくていいと思っています。もちろん、気になる話題だとは思いますが、可能ならこの話はここでいったん。決着とはいかないかもしれないですが、中の人間が責任をもって解決していく。今までもやっているので、これ以上、事を大きくしたり(しないでほしい)。トムにも負担がかかっていて、塁自身もあの発言をしたことで変な見られ方をしたり、逆に「よく言ってくれた」と言われたり。いろいろな声があると思いますが、僕はNBAでやっていく大変さを知っているからこそ、塁がNBAに集中してほしいと思っています。彼はもっともっと長くNBAでやっていってくれると思うので。なので中の人間が向き合って、これから強くて良い日本代表をコート上で見せていきたいと思っています。これ以上、この問題について選手に質問をしてコメントを求めるのも(やめてほしい)。これは僕の予想ですが、塁も自らこういう発言をするとは思えなくて。おそらく(報道陣から)聞かれたから言ったんじゃないかというのが僕の推測です。塁はNBAで頑張っていて、そこにはリスペクトをしていただいて、プレーの話をしてもらって。ただ、今はシーズン中で、日本代表の話は極力したくないはずです。それは僕もそうだった。それが皆さんへ伝えたいことです。 僕もちゃんと代表の一員として、責任をもってこの問題に向き合っていきます。コート上で結果を出して、良い日本代表になったと見せていければと思っているので、今後も引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。