1秒に泣きリオ五輪切符逃した小原怜が大阪女子マラ意地の日本人トップ2位も……東京五輪代表争いに課題残す
2020年東京五輪の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(9月)への出場権をかけた「第38回大阪国際女子マラソン」が27日、ヤンマースタジアム長居を発着点とする42・195キロで争われ、すでにMGCへの出場権を持っている小原怜(28、天満屋)が2時間25分46秒で日本勢トップの2位に入った。注目の福士加代子(36、ワコール)は12キロすぎに転倒し、35キロすぎで棄権。優勝はフアツマ・サド(27、エチオピア)だった。小原は意地の日本勢トップとなったが、東京五輪代表を争うMGCに向けて課題を残した。
2段仕掛けにトライも笑顔無きゴール
日本トップで2位に入っても小原に笑顔はなかった。 狙っていたのは優勝の二文字。レース後にマイクを向けられると「正直、不完全燃焼という形で終わってしまいました。これを課題にしたい」と反省の言葉ばかり並べた。 日本勢が先頭集団から脱落していく中で終始、先団をキープ。福士が25キロ手前で置かれていった後も小原のストライドはぶれることなく、アフリカ勢と渡り合った。 高まる期待感。それに応えるように2度スパートした。まずは30キロ付近。今大会から導入された「ラップチャレンジ」の起点あたりだ。これは8位入賞者の中で、30キロから40キロのラップタイムが最も速かった選手に賞金50万円が渡されるもの。小原は給水地点で満を持して飛び出した。 レース前に「一瞬を逃さないように、判断を迷わずに仕掛けたい。自分の殻を破れるかどうか。自分の強さを試したい」と話していたことを実行に移す。武冨豊監督も内心ほほえんだはずだ。だが、スピードに乗り切れず、アフリカ勢2人を突き放すことができない。 このとき、向かい風だったのも不運だったか。黒髪がまともに風を受け、外国勢にはうまく風よけに使われる形となった。 「一度仕掛けたが、仕掛け切れなかった。体がきつかった」 このままでは、いけない。いままでの自分に別れを告げるため、小原は態勢を立て直し、意を決したように35キロ地点で再スパーとした。 すでにMGCの出走権を手にしている余裕もあり、冒険できる立場だったからかもしれない。しかし、一番は「もっと強くなりたい。殻を破りたい」という近い将来の自分、そう東京五輪に向けた覚悟とも思える積極的な仕掛け。だが、思いとは裏腹に、これも中途半端な形となった。 「外国勢も疲れていると思った。勇気を持って仕掛けたが、これが自分の弱さ。最後の勝負で仕掛け切れなかった」 一方、2度のスパートに対応し、自身24度目のマラソンで7勝目を挙げたエチオピアのサドは「彼女の様子はずっと見ていた。2度スパートしたが、そこまでスピードに乗れないのになぜスパートしたのか」と手厳しかった。 そのサドは40キロ手前で逆にペースを上げ、単独先頭へ。2時間25分39秒で勝利した。「離されたときにズルズルと対応できなかった」と小原。しかし、勝者にも笑顔はなく「この時計では喜べない。私たちの国では2時間19分台、20分台の選手がいるし、タイムが重要視される。この内容では東京オリンピックは厳しい」とレベルの違いを口にしている。 今回のペースメーカーは5キロ17分ペースに設定されていた。2時間24分ゴールが想定だっただけに、小原の優勝タイムは世界と勝負にするには物足りない。