ミスマッチを防げ!「中途採用」でSNSを活用するため、企業がとるべき効果的なアクションは?
オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイントや最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。 今回は、SNSマネージャーであり、年間約3,000名の転職支援実績のある転職エージェント事業を営む稲葉修久氏(RIコンサルティング代表取締役)が回答します。 以前より、企業の採用活動でSNSが積極的に使われていると聞きました。SNSを活用している世代が社会人として活動しているなかで「中途採用」でSNSを効果的に活用するには、どのようにすべきでしょうか?
求職者がSNSを生活の一部として利用している以上、中途採用においても企業がSNSを利用する場面が増えています。効果的に利用するためには転職者の行動に注目してそれに合わせた運用をする必要があります。
新卒採用と中途採用の違い、メリットデメリットをまず把握
前回の「応募数UP! 就活生に刺さる企業SNSの活用方法【新卒採用担当者 必見】」では、新卒採用におけるSNS活用法にフォーカスしてお伝えしました。今回は「中途採用」がテーマです。 そもそも、新卒採用と中途採用の違いはなんでしょうか? 中途採用のSNS活用はここから理解しておくことが重要です。 新卒採用と中途採用は、その対象となる人材の経験に大きな違いがあります。新卒採用は、社会人未経験者、つまりその年に新しく学校を卒業する人々を対象としています。多くの企業では、卒業後3年までを新卒として扱う傾向にあります。新卒者は即戦力として期待されることは少なく、長期的な視点で育成し、将来的に会社に貢献することが期待されます。新卒採用は通常、前年から開始され、毎年4月の入社が多いのが特徴です。 一方、中途採用は社会人経験のある人々を対象としています。これらの候補者は、一度は社会で働いた経験を持ち、即戦力として期待されることが多いです。また、社会人経験が3年未満の人材は「第二新卒」と呼ばれることもあります。中途採用はほとんどが通年で行われ、ポジションによっては不定期での採用となることもあります。 なお、中途採用には多くのメリットがありますが、潜在的なデメリットもあり注意が必要です。 ■ 期待と実際のギャップによる影響 中途採用では、候補者に対して即戦力としての貢献を期待するのが一般的です。彼らはすでに社会人経験を有しているため、新たな環境に迅速に適応し、期待される成果を出すことが求められます。しかし、実際には候補者のスキルや経験が企業の期待と一致しない場合があります。このようなミスマッチが生じると、再教育の時間も限られており、期待した成果を得られません。特に、中途採用者の給与水準は新卒採用者よりも高いことが多く、企業にとっては大きな損失となる可能性があります。 ■ 既存の働き方への固執 中途採用者は、自身の働き方や業務遂行方法がある程度確立されている人が大半です。これまでの職歴や経験に基づいて仕事を進めることは一般的ですが、これが企業の既存の方法や文化と合わない場合、調整が必要になることがあります。自分のやり方に固執する人だと、企業のサービスやプロセスを十分に理解てもらうのが難しい可能性があります。これは、チーム内の協調性や業務の効率に影響を及ぼします。 こうしたデメリットも踏まえ中途採用を円滑に進めるには、具体的な職務内容やそれを遂行するのに求められるスキル、社風や確立された環境がどういったものかを、可能な限り選考段階から求職者に伝えておく必要があるということです。