アマゾンとグリフィン氏、次世代原子炉技術のX-エナジーに投資
(ブルームバーグ): 次世代の原子力エネルギーとして注目される小型モジュール炉(SMR)の技術に、アマゾン・ドット・コムや資産家ケン・グリフィン氏らが5億ドル(約750億円)を投じて支援する。
アマゾンはワシントン州とバージニア州でのSMR開発でX-エナジーと合意し、同社に投資する契約を結んだ。
X-エナジーは16日、今回の資金は2039年までに全米で稼働を目指す5ギガワット余りの発電プロジェクトに充当されると発表した。
人工知能(AI)を稼働するための大規模なデータセンターで大量の電力が必要とされており、テクノロジー企業は新たなエネルギー源を模索している。アルファベット傘下のグーグルは14日、SMRを建設する新興企業カイロス・パワーと電力の購入契約を結んだと発表。カイロスは溶融塩冷却技術を使用するSMRを建設する。
アマゾン・ウェブ・サービシズのマット・ガーマン最高経営責任者(CEO)は「原子力エネルギーは二酸化炭素を排出せず、拡張性もあるため、アマゾンにとって重要な投資分野だ」と発表資料で説明。「今回の合意は今後数十年にわたってエネルギーを生み出す新たな原子力技術の構築を促進する」と述べた。
従来の原子炉が平均約1000メガワット級の規模であるのに対し、SMRは工場で製造した後は鉄道やトラックで現地に搬入して組み立てるため、時間とコストが節減できる。単一もしくは複数の設置が可能で、従来型の原発を必要としない国にも潜在的な市場は広がる。
ただこの技術はまだ、十分な規模で商業化されていない。
環境保護団体エンバイロンメント・アメリカのジョアナ・ノイマン氏は「AIは新しい技術かもしれない。しかし次の革新的な原子力技術が人類のエネルギー問題を解決するという主張は、最初の原子分裂以来何度も繰り返されてきたものだ」と発表資料で指摘。「大手テクノロジー企業は今こそ、環境と健康へのリスクが低く、十分に機能する解決策に改めてコミットするべきだ。データセンターのエネルギー効率を可能な限り高め、新しい再生エネルギー源による電力供給に力を入れることがこれに含まれる」としている。