中日・大野雄大投手が激白!2勝目までの「ボロボロメンタル」
炎が消えた
さらに7月13日、くふうハヤテ戦に先発して5回1失点。大野投手はこの時の気持ちをこう語りました。 大野「先発ピッチャーとしては言ってはいけないと思うんですが、5回投げた後に『もう代えてください』って言っちゃいました。もう投げる気力がない。『炎が消えた』っていう表現が一番いいと思います」 これまで何人ものレジェンドを取材してきた若狭曰く「これは引退する選手の兆候」だそうです。ケガがきっかけとなり、年齢も重ねているので思うように結果が出ず、やがてメンタルも弱ります。 若狭「しかも、一度脚光を浴びてチームの顔になった選手であればあるほど、もう1回頑張るのが難しい。これは緊張の糸が切れた引き際を考える選手の流れです」
火を灯す人
ところが、炎の消えたろうそくに、優しい炎を毎回点けてくれる人がいたそうです。選手にも家族にも言えない気持ちを受け止めてくれたのは、浅尾拓也コーチだったとか。 かつて中継ぎでMVPとなり、日本の頂点に立った浅尾コーチ。同じようにケガで苦しみ、一軍と二軍を行き交い、晩年には二軍での登板のみでした。 浅尾コーチは、大野投手にこんな言葉をかけたとのこと。 「大丈夫。もう一回、先発で絶対復帰できるから。大野は絶対先発だから」 この言葉が、ろうそくが消える度に火を点けてくれたそうです。 若狭「要するに大野雄大投手が見た景色を、浅尾拓也投手も見ていました。だからこそ伝えられる言葉、できる接し方があったんですね」
志願の7回
7月27日は、二軍でオリックス・バファローズ戦に登板しましたが、7回を無失点で抑え、再び一軍へ。8月3日に登板した広島戦では、5回を2失点で負け投手となったものの、ゲームを作りました。そして8月11日の巨人戦は5回3失点とやはり負け投手でしたが、こちらも役目を果たしました。 そして8月18日、バンテリンドームでの阪神戦では7回3失点で、ようやく今季2勝目を上げました。さらに自身のバンテリンドームにおける通算50勝を飾りました。 実はこの試合で、6回に立浪和義監督から「もうこの辺でやめとくか?」と聞かれたという大野投手、7回も志願して登板を続けたそうです。
浅尾コーチのおかげ
前回の4月の勝利は5回早々にマウンドを降り、首脳陣に勝たせてもらった試合。この日は自ら7イニング目を志願し、大野投手本来のスタイルであるイニングイーターとして堂々と勝ちました。 大野「浅尾さんがいなかったら、今シーズンの僕はいなかったと思います」 試合後、浅尾コーチに電話で勝利を報告した大野投手。すると浅尾コーチは「だから言ったじゃん。先発で復帰できるって」と軽快に答えたそうです。 若狭「この返し方も浅尾さんっぽいなと思いました」 (尾関)