マイルCS参戦の英調教馬チャリン 日本の馬場への適性を血統面から深掘り
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬 【写真】ハーツクライも血統表でよく見る名馬 【ハーツクライ】 現役時代にディープインパクトを破って有馬記念を制覇し、ドバイSCを4.1/4馬身差で圧勝しました。 種牡馬としては、ドウデュース、スワーヴリチャード、ジャスタウェイ、リスグラシューなど多くの名馬を出しています。サンデーサイレンスの後継種牡馬のなかで、JRAの通算勝利数はディープインパクトに次ぐ第2位。JRAの平地重賞勝利数、同GI勝利数ともディープインパクト、ステイゴールドに次ぐ第3位。サンデー系種牡馬の代表的な存在です。 スタミナ豊富で東京芝コースに強く、基本的には晩成タイプ。後継種牡馬のスワーヴリチャードが初年度から華々しい活躍を見せており、サイアーラインとしての発展も大いに期待されます。 母の父としては年度代表馬エフフォーリアを出しています。福島記念を勝ったアラタも母の父がハーツクライ。7歳にして重賞初制覇を果たした晩成傾向は、ハーツクライに由来する部分が大きいと思われます。 ◆血統に関する疑問にズバリ回答! 「チャリンの父ダークエンジェルについて教えてください」 マイルCSに出走予定のイギリス調教馬チャリンは、今年6月にクイーンアンS(英G1・芝8ハロン)でG1初制覇を果たすと、ジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)、クイーンエリザベス2世S(英G1・芝8ハロン)も制し、欧州マイル路線のトップランナーに躍り出ました。 父ダークエンジェルは、日本でも産駒がコンスタントに走っており、マッドクール(高松宮記念)、シュバルツカイザー(キーンランドC4着)、ダークペイジ(オープンクラス)など、出走16頭中11頭が勝ち上がっています。全28勝中26勝を芝で挙げており、その全てが1600m以下。日本の高速馬場に対応可能なスピード血統といえるでしょう。 チャリンは8月に行われたジャックルマロワ賞で、60kgを背負いながら1分33秒98の好時計で快勝。このタイムは同レースの歴代3位に相当します。硬い馬場への対応力をすでに示しているので、体調面の問題さえなければ、マイルCSのパフォーマンスにも期待できます。 ちなみに、現時点でダークエンジェルは英愛種牡馬ランキングの首位を走っています。これから年末にかけて、平地競馬は賞金の安いオールウェザー競馬が中心となるので、初の英愛チャンピオンサイアーの座につくことはほぼ確定的です。