口紅が原因で明太子が食べられなくなった…まさかの要因で!症例も続々「大人の食物アレルギー」最前線
ある朝、目覚めたら顔がパンパンに…
いきなり筆者の体験談で恐縮なのだが、ある日のこと、目覚めたら顔が土偶になっていた。パンパンに腫れて目を開けることさえできない。慌ててかかりつけの皮膚科に行ったところ、「昨日食べたマンゴー、もしくは一昨日のキウイが原因だと思うけど、出方としては多分マンゴーだね。マンゴーはウルシ科なんだよ。あなたマンゴー触った手で顔をベタベタ触ったでしょ」と言われた。確かに、種についた果肉がもったいなくてむしゃぶりつきましたけど、それまでなんともなかったのに! ビーチが大喝采! 米国・カリフォルニア州発 愛犬たちのサーフィン世界大会「超クールな勇姿!」 「一度出ちゃうとこれからも出るだろうから、マンゴープリンとかマンゴーアイスも、食べる前に手にちょっとつけて、パッチテストしてから食べて」。そう言われて処方された薬を飲んだら、腫れは4日程度で治った。 それにしても……。元々アレルギー体質なのか、ヤマイモやタピオカは食べると全身痒くなって必ず嘔吐するけど、なぜマンゴーで? 昨今、大人の食物アレルギーが増えているというし、俄然気になってきた。というわけで、意外すぎるアレルギーの原因と研究の最前線を、研究・治療の第一人者である福冨友馬先生に聞いた。 ◆サーフィン、手袋、ペット……食物アレルギーを引き起こす「意外な要因」 大人のアレルギー発症のメカニズムとして多いのは、食べているうちにだんだんアレルギーになっていく『経口感作』と、皮膚や目・鼻などの粘膜がアレルゲンに晒されることがきっかけとなる『腸管外感作』の2つに大きく分けることができ、『腸管外感作』はそこからまた枝分かれするという。具体的な例を見ていこう。 ◇ペットが原因だったとは!「豚肉-猫症候群」 自分が猫アレルギーであることに気がつかず、「豚肉」を食べてアレルギーを発症することも。猫アレルギーの人の一部が反応するアレルゲンによく似たアレルゲンが豚肉などにも存在し、食べたときに発症する。 「アレルギーを発症する原因になるものと症状を起こす食べ物の成分が似ている場合、別のものなのに身体が間違えて反応してしまうことがあり、これを 『交差反応』といいます」(福冨友馬先生/以下同) ◇花粉のせいで「豆乳アレルギー」に カバノキ科の花粉アレルギーの人が「大豆」を主原材料とする飲料を飲んだとき、口腔アレルギーやアナフィラキシーを起こす事例が。 「花粉は数多くの果物や野菜アレルギー発症の原因に。成人になって食物アレルギーを発症する原因として最も多いのが、花粉と果物の交差反応です」 ◇サーファーに多い「納豆アレルギー」 サーファーは海で「クラゲ」に刺されやすく、クラゲのもつ『PGA』という成分は納豆にも含まれているため、クラゲに刺された人が納豆を食べてアレルギーを起こすことがある。 「北海道だとサーファーじゃなくて、漁業関係従事者が発症しやすいと報告されています」 ◇ゴム手袋が原因の「ラテックス-フルーツ症候群」 「ラテックス」を使った手袋を頻繁に使用する医療従事者などが発症しやすい。これも交差反応で、バナナやアボカド、キウイ、クリなどに反応する。 「ゴム手袋を使う人は手荒れのある人が多く、そこからアレルゲンが体内に入りやすくなります。するとラテックスのアレルゲンに対してIgE抗体が作られ、似たような成分のある食物でもアレルギーを起こすようになります」 ◇口紅が原因で「苺ジャムや明太子」が食べられなくなる? 南米産の昆虫から摂れる「コチニール」という赤色色素はヨーロッパ製の口紅やアイシャドーなどによく使われていて、同時に着色料として食品にも使われている。コスメのコチニールが皮膚や目などの粘膜から侵入することにより、苺ジャムや明太子など、コチニール色素を使った食品でアレルギーが出ることも。 「イメージ的には、きちんとメイクをされた方が来て、『食後に瞼や唇が腫れる原因不明のアレルギーで……』と言ったら、それを疑います。クラゲやラテックスもそうですが、アレルギーには、なりやすいバックグラウンドというものがあります。成人男性の原因不明のアレルギーの原因として、コチニールを疑うことはまずないです」