【神戸新聞杯回顧】タフな流れのマイペース決めこんだメイショウタバル 父ゴールドシップを想起させる、魅力と狂気
巧みさとスタミナで勝負したジューンテイク
ジューンテイクは昨年のサトノグランツに次ぐ京都新聞杯、神戸新聞杯制覇を惜しくも逃した。どちらのトライアルも非根幹距離であり、コースは違えど共通点が多い。父キズナ産駒はこのレースに大挙7頭も出走した。牡馬は非根幹距離を得意とする産駒が多く、2~4着に入ったのは納得できる。 また、この世代から明らかにキズナ産駒は変化した。前哨戦で強く、本番では足りないというイメージはジャスティンミラノが払拭してくれた。ジューンテイクは好位から運び、最後は唯一、メイショウタバルに迫った。内を立ち回った巧みさと最後まで伸びたスタミナに菊花賞への可能性が高まった。 出走権最後のひと枠を獲得したのがショウナンラプンタ。終わってみれば、取り消したメイショウタバル以外はどちらもダービー出走馬。実績馬が上がり馬を上回った形になった。 メイショウタバルが飛ばす持久力戦になり、厳しい流れでも最後に末脚を使えるタフさが問われたということだろう。末脚は確かでも、追走で厳しくなっては、思うような脚を使えない。そういった意味ではトライアルにふさわしいレースだった。 後方からしぶとく伸びたショウナンラプンタも自力で勝ちに行けない弱みこそあれど、流れに対する耐久力はみせた。叩いた次はもう少し自在に動けるかもしれない。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳