増える外国人 変わる北海道の労働環境
今週のけいナビの特集は、北海道内で増え続ける外国人について。北海道労働局の調べによれば、2023年10月末時点で3万5439人が就業し、雇用する事業所数も6902に上る。いずれも右肩上がりで、今後も増加が続くとされている。現状を取材した。 札幌・中央区にある日本語学校、札幌ランゲージセンターでは、東南アジアをはじめとした15の国と地域からの留学生ら約250人が学んでいる。 多くが日本語を取得した後、日本の企業で働くことを目指しているが、自国に戻って日本の企業とビジネスをしようと考えている人も少なくない。佐治たみ子校長は「語学はもちろん、日本で生活していく上でのルールについても厳しく指導している」と話す。 道内でエネルギー関連や車両整備、不動産業を手掛ける中和石油は、外国人雇用に積極的な企業として知られている。約350人いるスタッフのうち、60人ほどが外国人だ。 中和石油は、外国人材を他企業に紹介する事業も手掛ける。2022年に別会社を立ち上げ、インドネシアを中心に事業を展開。現地の学校などと提携し、日本で働きたい人を募っている。
杉澤社長によると、当初は中国やベトナムから来日する人が多かったが、両国の賃金が上昇し日本に来るメリットが薄れていることから、最近はインドネシアやミャンマーの出身者が増えているという。人手不足が深刻化する中、外国人材の取り合いは既に始まっていて、「5年後には賃金の低い北海道の企業は首都圏などとの競争でかなり厳しい状況に追い込まれる」と予測している。 道内では「技能実習」という形のほか、人手不足に対応する「特定技能」で在留する外国人が多い。そんな中増えてきているのが、高度な知識や技術を持つ「高度外国人材」といわれる人たち。遠軽町丸瀬布にある建設業の管野組も、高度外国人材を受け入れる企業のひとつだ。 ベトナム出身のヒエウさんは、国立のダナン建築大学を卒業し来日した。管野組には5人の高度外国人材がいて、世界トップ水準にある日本の建設業の技術を日々学んでいる。 同じくベトナム出身のハーさんも、高度外国人材として働く。ハーさんの夢はこの道のスペシャリストになること。管野組は外国人が生活しやすい環境をつくろうと、福利厚生施設を現在建設中だ。
なぜ高度外国人材に目を向けたのか。背景にあったのは、都市部の企業ではないため日本の学生に敬遠されてしまうという実情だ。管野社長はさらなる外国人雇用に前向きで、現在働いている外国人が将来自国へ戻った際に、「現地に合弁会社をつくりたい」と夢を膨らませている。 番組MCの杉村太蔵さんは、この先外国人の力がもっと必要になってくるという考えを示し、「オープンマインドでいろいろな国の人たちを受け入れる環境づくりが大事」だとした。 (2024年12月14日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援どさんこ経済」より)