インテル、中国の半導体「後工程」拠点に追加投資 現地子会社を457億円増資、中国重視をアピール
アメリカ半導体大手インテルの中国法人は10月28日、中国に持つ半導体製造の「後工程」の拠点に追加投資を行ったと発表した。チップのパッケージング(封止)およびテストを手がける四川省成都市の工場を拡充するほか、新たにカスタマー・ソリューション・センターを設立する。 【写真】「CHIPS・科学法」の法案に署名するアメリカのバイデン大統領 インテルの成都工場は、同社にとって後工程の世界最大級の拠点だ。インテル中国によれば、建設がスタートした2003年から現在までの累積投資額は40億ドル(約6094億円)を超え、累計30億個近い半導体を出荷してきたという。
■「中国の顧客ニーズに対応」 同社は今回の追加投資額を開示していないが、中国の企業登記情報によれば、地域持ち株会社インテル・アジア・ホールディングが成都の事業子会社に対し、10月23日に3億ドル(約457億円)の増資を実施した。 「成都工場の拡充を通じて、インテルは中国の顧客ニーズに一層フォーカスし、経営リソースを最適化する。それにより、顧客のデジタル・トランスフォーメーションにさらにスピーディーに対応できる」
インテル中国の董事長(会長に相当)を務める王鋭氏は声明の中で、追加投資の狙いをそう説明した。 注目すべきなのは、インテルが今回の追加投資を発表したタイミングだ。というのも、インテル製品のセキュリティーについて疑問を呈する声が、中国の関連業界から上がった直後のことだったからだ。 サイバーセキュリティー分野の業界団体である中国網絡空間安全協会は10月16日、インテル製CPU(中央演算処理装置)の安全性の問題を列挙した文章をSNSの公式アカウントに投稿した。
同協会は、インテルのCPUについて「製品の信頼性が低く、ユーザーの改善要請を無視している」「バックドアを設けて、サイバー空間の安全を脅かしている」などと厳しく批判。同社に対するサイバーセキュリティー審査を実施するよう(中国政府に)提案した。 (訳注:中国網絡空間安全協会は、中国のサイバーセキュリティーを取り仕切る共産党中央網絡安全信息化委員会弁公室の指導下にある) ■米中対立の影響は不可避 こうした動きの背景には、先端技術開発をめぐる近年の中国とアメリカの対立がある。中でも半導体の分野は、両国政府が激しくせめぎ合う“主戦場”になっている。