【医療費の支払い】祖母が入院時に「限度額適用認定証」の提示を求められていましたが、窓口での支払い額が変わるだけですか?
高齢者が入院したときなどに、医療機関側から「限度額適用認定証」なるものの提示を求められることがあるようです。「限度額適用認定証」とはどういった役割を果たすもので、これがないことによってどのような不利益が生じるのでしょうか。まとめてみました。
限度額適用認定証って、何?
「限度額適用認定証」とは、高額療養費制度において利用することのできる書類です。省略して「認定証」などと呼ばれることもあるようです。そして「高額療養費制度」とは、1ヶ月における医療機関での窓口支払いが高額となる場合、申請によって自己負担限度額を超えた部分が後日払い戻される制度です。 払い戻されるということは、いったんは自身で医療費を支払わなければならない、ということになります。医療費が高額であればあるほど、一時的な負担は重くなるでしょう。そこで利用できるのが、限度額適用認定証です。これを窓口に提示することで、窓口での支払いが自己負担限度額の範囲内に抑えられます。 つまり、限度額適用認定証があれば「事前に高額な支払いをして、後から申請して還付を受ける」というような面倒な手間や金銭的な負担を省き、高額療養費制度の恩恵を最大限受けられるのです。
限度額適用認定証がないと、医療費は高額なまま?
限度額適用認定証がなくとも、最終的に負担する医療費の額は変わりません。あくまでも後から還付を受けるための手続きが省け、最初から自己負担限度額だけを支払えばいいというだけです。 参考までに、東京都石国民健康保険組合「限度額適用認定証」内の一例をご紹介します。70歳未満で基礎控除後の所得額が210万円超600万円以下の方が、窓口での負担額30万円となる治療を受けた場合、本来であれば一時的に30万円の支払いが必要になるところ、限度額適用認定証を提示すると自己負担限度額は8万7430円となります。 認定証がない場合はいったん30万円全額の支払いが必要であり、後から高額療養費の申請をすることによって、自己負担限度額を超えた分(21万2570円)が還付されます。しかし限度額適用認定証があれば、最初から窓口での支払額が、上限額である8万7430円となるため、還付の手続きも必要なくなるというわけです。 図表1