目標は「全国で2勝」…2年前の国立での経験も生かした津工、四日市中央工に完封勝利で全国行きに王手!!:三重
[11.2 選手権三重県予選準決勝 津工高 2-0 四日市中央工高 LA・PITA東員スタジアム] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権三重県予選準決勝が2日に行われ、2年ぶり4回目の出場を目指す津工高と2年連続36回目の出場を狙う四日市中央工高が対戦。後半の2ゴールによって、津工が2-0勝利して決勝へと駒を進めた。 今年の津工は2年前の選手権から始まっている。国立競技場で行なわれた開幕戦を引き当て成立学園高と対戦したが、3点を先行される苦しい展開に。後半に意地を見せて2点を返したが、2-3で悔し涙を流した。先輩たちを超えて、全国で2勝し、関東で年越しするのが今年のチームの目標。スタートラインに立つためにも県で負けるわけにはいかない。 当時の経験は、試合への準備にも生きている。この日はキックオフ前から雨脚が強くなり、ぬかるんだピッチに足元が取られやすい状態になっていた。ボールも思い通りに動かず、自陣からパスを繋ぎたい津工にとっては難しいピッチコンディション。縦に速いパワフルな四日市中央工向けと言っても過言ではなく、「正直、今日は分が悪いと思っていました」(片野典和監督)。 ただ、滑りやすいピッチは選手権の国立で経験済み。滑りにくいポイント取り換え式のスパイクを選手が用意して試合に挑めたのは大きく、開始早々に観客を沸かせる見せ場を作った。加えて、思っていたよりも四日市中央工が長いボールを入れてこなかったのも好都合だったという。 それでも、前半16分には四日市中央工がチャンスを作る。右サイドのMF工藤悠眞(2年)がゴール前に入れたボールにMF小久保圭皓(3年)が反応したが、シュートを打ち切れない。以降も四日市中央工がゴール前まで持ち込む場面があっても、片野監督が「DFラインは全員が2年生で、足の速さが特徴。守備は硬い」と信頼を寄せる津工の3バックが粘り強く対応。DF山崎蒼葉(2年)はこう振り返る。「今日はヘディングで絶対に負けないという気持ちで挑んでいました。それに誰かが競り負けても、その後にカバーできるような準備していたので粘り強く守れました」。 守備で耐えるだけでなく、マイボールになればピッチ状態を苦にせず、MF土谷飛雅(3年)ら攻撃陣が前に運んでいく。「少しボールを浮かせたり、ちょっとしたテクニックは正直うちの方が上手いと思っていました」(片野監督)。得点こそ奪えなかったが、良い流れで後半に入ると後半1分には相手GKが弾いたこぼれ球を土谷がシュート。再びこぼれたボールを、体勢を崩しながらも押し込んで津工が均衡を崩した。 9分には左サイドで得たFKを土谷がゴール前に展開。混戦になったところをMF山本遼生(2年)が押し込んで、四日市中央工を引き離した。2-0となってからはゴール前にフリーで抜け出されるなどピンチもあったが、「先に前が2点決めてくれたのであとは僕が止めるだけだと思っていました」と話すGK中尾楓汰(3年)を中心とした守備陣が落ち着いて対処し、逃げ切りに成功。2年ぶりの全国行きに王手をかけた。 新人戦では優勝、インターハイ予選は準優勝と今年の津工は県内の3大会全てで決勝までたどり着いた。県外遠征でも全国区の強豪校と互角以上の戦いを繰り広げてきた経験は選手の自信になっており、「全国でも自分たちはできるんだとみんなが思っていると思う」(山崎)。全国で2勝するための準備は着実に進んでいる。 これまでの積み上げを無駄にしないためには決勝での勝利が欠かせない。「今日の試合で苦しくても勝てたのは大きい。絶対全国に行きます」と意気込むのは山﨑で、スタンドを含めた津工の選手たちは白星しか見えていない。 (取材・文 森田将義)