コスパを考えると後継機まち。携帯ゲームPC「MSI Claw A1M」
MSI Clawのパフォーマンス
すべてを解決してくれたわけではなかったOver Boost MSI Clawのベンチマークは一苦労です。他の多くの携帯PCゲーム機と同様、一般的な電力設定項目を備えていますが、最新のアップデートで導入されたOver Boost設定によって、見違える改善が期待されました。私たちがテストしたところによると、Clawを限界まで使えば確かに良いパフォーマンスを発揮します。しかし、それでも競合する製品の設定を考慮すれば、そこまで優れているとは言い難いです。 Clawの53Wの大容量バッテリーは、TDP(熱設計電力)を最大40Wまで高めることができ、様々なタイトルでより良いパフォーマンスを発揮するはず。しかし、『サイバーパンク2077』のようなゲームでは、TDP 30Wと40Wを比べても、大きな違いは見られませんでした。確かにOver Boostは35-40W TDPを提供しますが、実感できるような違いはありません。 Steam Deckは他の携帯PCゲーム機の中でも異色な機種です。どのバージョンでもTDPは15Wどまり。 それでも、『サイバーパンク2077』のようなゲームに最適化されたSteam Deckは、標準の「Steam Deck」設定で30FPSを基本的に達成します。Clawでは、20Wで27FPSにしかいきません。30Wに上げると35FPSになりますが、それでもROG Allyの平均40FPSには及びません。Legion Goでも同じ電力と解像度の設定で近い結果が得られます。 『Forza Horizon 5』では、すべてのデバイスで同様の設定をした上で、Allyがベンチマークテストで60FPSを達成したのに対し、Clawは42FPS、Legion Goは59FPSでした。グラフィック設定を下げればスコアを上げることはできますが、ビジュアルの品質が低下した状態で、60FPS以上を求めたいわけではありません。 MSIは、Over Boost設定を有効にした場合、Steamのトップ100ゲームのほとんどでAllyよりも26%優れたパフォーマンスを発揮すると約束しました。そして実際に、『アサシン クリード ヴァルハラ』を上位設定でプレイできるようになりました。ほとんどのゲームでフレームレートが20~30%向上しています。 すべてのベンチマークを再実行してみると、『サイバーパンク2077』で41FPSを達成しました。『Forza Horizon 5』では50FPSに達しましたが、それでもAllyの元々のベンチマークには及びません。 ただ、最後に付け加えたいのは、オーバークロック機能ではなく、AIアップスケーラー(高画質化技術)を活用して、フレームレートを向上させて欲しいということです。 『バルダーズ・ゲート3』を、上位設定とFSRのウルトラパフォーマンスモードで、50FPS以上を達成できるROG Allyに対し、同じエリアをプレイして、TDPを最大にし、さらにOver Boostをオンにしても、MSI Clawでは30FPS以下にしかなりません。 よりハイレベルな設定がバッテリー寿命に与える影響を考慮すると、無視できる結果とは言えません。