ギャル、パラパラで岩盤支持層「50代以上の女性」がソッポ…朝ドラ「おむすび」が“低迷”している理由
現実味の薄い場面も
一方で現実味という点で首を捻る場面もある。たとえば第13回。風見は書道部の練習後、「みんなに聞かれると、恥ずかしいから」と結に内緒話を持ち掛ける。風見に気のある結はがぜん期待した。 ところが風見の話は結の手製の筆巻きについてだった。「これ、野菜染めやろ」(風見)。結は拍子抜けし、それが佳代による染め物で、自宅にはほかにも染め物があると明かす。 すると風見は目を輝かせ、「明日、祝日やろ。見に行ってもいい?」と結に申し込んだ。まだ出会って間もない異性に対し、理由は別とし、自宅への訪問を唐突に頼むということがあるだろうか。 翌日、風見は米田家にやってきた。佳代は嬉々として野菜染めの技術を披露する。視聴者に向けても野菜染めの手順がテロップで紹介された。好みの問題ではあるが、まだ物語の骨格が固まっていない序盤で、話が野菜染め教室のようになってしまい、勿体ない気がした。 とはいえ、物語の本編はこれから。結の姉でハギャレンの憧れである米田歩(仲里依紗)が帰ってくる。伝説のギャルである。米田家が現在の福岡県糸島に来る前に住んでいた神戸市に帰るかどうかの問題も浮上する。 この物語では30年前の阪神・淡路大震災によって人々が負った傷の大きさが問い直される。 高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ) 放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。 デイリー新潮編集部
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