じつに、美しい…世の数学者を虜にする「平面充填」。なんと、ありうる「回転対称」は、セルによって決まっている、という「驚愕の法則」
拡大・縮小対称性
対称性に含まれるもう一つの要素は、「拡大・縮小」です。 ここまでに説明した4つの要素「平行移動」「鏡映」「すべり鏡映」「回転」は同じ大きさの図形に関する移動(「等長変換」といいます)でしたが、ここからは違います。 正方形が4つ集まると、より大きな正方形が作成できます。また、正方形を4つに分けて小さな正方形4個にすることもできます。 拡大と縮小は正反対の概念ですが、方向性(時間の流れ)を逆にすれば、まったく同じプロセスだともいえますから、拡大に限定して話を進めます。 上図の例は2倍にするだけでしたが、3倍、5倍などの任意の倍率でも同様であることは自明です。また、上図の右に示す例のように、拡大と縮小を同居させることも(当たり前ですが)アリです。 このようにサイズの異なる同じ形(相似形)も、ある種の充填模様の要素になりうることは間違いありません。そしてそれらは対称的であり、同時に美しくすらありえるものなのです。 本記事で取り上げたトピックをはじめ、『ペンローズの幾何学』では、平面図形に現れる対称性や黄金比などのふしぎな性質、最新の発見である「アインシュタイン・タイル(非周期モノ・タイル)」に関する詳しい解説等を紹介しています。 ペンローズの幾何学 対称性から黄金比、アインシュタイン・タイルまで
谷岡一郎、荒木 義明