熊本市電インシデント検証委員会は組織内のコミュニケーション不足を指摘【熊本】
テレビ熊本
年明けから〈止まらない〉熊本市電の運行トラブル。24日、有識者による検証委員会の最終回が開かれました。 委員会が最も強く指摘したのは、組織内のコミュニケーション不足でした。 今年5月、熊本市電の運行トラブル5件が発生した時点で初会合が開かれた有識者による検証委員会。 7月に中間報告書をまとめたあともトラブルは続き、脱線や信号無視など今年これまでに15件の運行トラブルが発生しています。 24日はまず、23日に発表された15件目、イチョウの葉で軌道が滑り、交差点で横断歩道を過ぎて停止したインシデントについて意見が出されました。 【宮崎 輝昭 委員/元熊本市交通局 安全統括管理者】 「(滑り止めの)砂まきをしていたが、(人手が)足りない時は事務職が出て一緒にやった。滑る箇所が出てきたら、すぐ対応できるようにしてほしい」 委員会会長は、運転士が報告していなかったことを重視。 【吉田 道雄 会長/熊本大学名誉教授・社会心理学】 「報告書の検討にも関わるが、『言った方が長い目でみるとプラスになる』という価値観を持つこと。許容して『よく言ってくれた』という環境になるかどうか」 検証委員会6回目の24日は近く提出する最終報告書の案を検討しました。 市交通局側はインシデントへの長期的対策として、無理のないダイヤ作成など勤務と勤務の間隔が十分確保できる体制、制服の刷新といった意識を変えることを促す取り組みなどを新たに示しました。 そして、委員側も乗務員など職員へ、独自に行ったアンケートを基に課題を整理。 【吉田 道雄 会長/熊本大学名誉教授・社会心理学】 「(組織内に)『正論を言っても通じない』という関係が出来上がっている。〈基本〉は元々守られないものと考えた方がいい。幻想であり、それが安全のリスクマネジメントだと思う」 【中尾 正俊 委員/宇都宮ライトレール 常務取締役安全統括管理者】 「組織の風通し。『新聞やテレビニュースで知った。なぜ先に我々に言ってくれないのか』と。ちょっとした気遣いを運転士にやってもらったら、事故はグッと減る」 【宮崎 輝昭 委員/元熊本市交通局 安全統括管理者】 「上はどうしても『下の方には伝えた』と言うが、なぜ下の(答えの)確認をしないのか。意見のやりとりが不足していたことがアンケートから分かる」 【本藤 小百合 委員/社労士法人TrueWorks 代表社員】 「睡眠の問題がある。信号冒進(信号無視)をした運転士に『脳疲労』を言った人もいた。本当にストレスの原因になると思う。睡眠が2~3時間の時もあるというのは厳しい状況」 吉田会長は最終報告書に、職場環境とコミュニケーションの改善、業務負担の軽減と適正な人員配置などについて指摘する考えを示しました。 【井芹 和哉 市交通事業管理者】 「再度いただく報告書の内容を見て、これからの安全対策に間違いなく生かしていきたいと思っています」 8カ月にわたって続けてきた熊本市電インシデントの検証。最終報告書は年明けに大西市長へ提出される予定です。
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