「待遇改善を求めたら即ブロック」ミスや遅刻はないのに…急成長スキマバイトで51歳男性が直面した「驚きのトラブル実態」
「会社とワーカーの間で解決を」スポットワーク業者は対応せず
投稿したレビューの内容が原因に違いない、と池田さんは呆れる。 「仕事中に大きなミスをしたり、企業に損害を与えたりといった、解雇の理由に抵触するような行為はしていません。早上がりなど一連の問題に対して、所属する労働組合を通じて団体交渉を申し込んだところ、企業側からは『アプリ上でブロックした理由は“仕事が遅かったから”』だと言われました。 しかし、それ以前に十数回も就労していましたし、現場で仕事が遅いことを指摘されたことはありません。私がレビューに要望を書き込む前は、新たな求人公開があるたびに先方からリクエストが届いていたので、むしろ仕事ぶりを認められていたと思うのですが……。 アプリ上に仕事は溢れているのだから、イヤな目にあったのであれば次の条件に合うとこに行けばいいと思われる方も多いと思います。ですが、自分としては仕事内容が合っていましたし、今後も働きたいと思っていました。何より企業側に正当な改善を求めただけでシャットアウトされるというのは、あまりに不健全な状態です」 池田さんは上記の実情をスポットワーク事業者にも問い合わせたが、特に対応はしてもらえなかったという。 「『我々の仕事は、企業さんとワーカーさんをつなぐ橋渡し的な存在である。労働基準法にのっとって企業に対応は任せているので、トラブルは会社とワーカーの間で解決してください』と、そういう丸投げのスタンスなんです」 スポットワーク事業者は、ワーカーの総時給に対して約3割の仲介手数料を受け取っている。にもかかわらず、問題生時の対応は労働者側に任せきりという一端がみえる。
約半数がトラブルに遭遇
社内規定管理のクラウドサービスを展開する「KiteRa」が、今年5月に公表した調査結果では、スポットワークでトラブルに遭遇したと回答した人は51.4%に上った。そのうちトラブルに遭った6割以上が、スキマバイト事業者など仕事の紹介元に相談したが、半数以上は未だ解決していないという。 なお、トラブルの内訳は「仕事内容が事前に聞いていた内容と異なる」が最多の52.0%で、「労働条件(時間や給与など)が異なる」が46.9%に及んだ。また、労働基準法で定められている労働条件通知書の交付についても、「1度も送られてきたことがない」「送られてこないことがある」と回答した人が半数を占めている。 スポットワーク事業は、企業とワーカーが相互評価を行うことで、評価の低い企業にはワーカーが集まらず、同様に評価の低いワーカーには仕事が渡らなくなる仕組みになっている。 だが、池田さんのように正直な評価をつけることでブロックされることがまかり通るのであれば、労働者側がマイナス評価を付けることは困難になる。こうした問題を是正する仕組みがない以上、アプリ上のレビューが正当な評価で成り立っているかは極めて不透明と言えるだろう。 「もちろん早上がりで賃金をカットされるのは稼ぎ的にも困ります。ただ、その未払い賃金を払ってほしいというよりは、求人をシャットアウトされ、働く機会が失われたことの改善を求めたかったのです」 ………… 【つづきを読む】「闇バイトの温床」「派遣切りの二の舞」医療や福祉にも進出…急拡大スキマバイトがもたらす「悲惨な未来」
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