2025年、ビットコイン相場を徹底予想!トランプ政権で20万ドルも視野、要注意は「失望売り」リスク
■ (2) ステーブルコインは実需で利用が拡大か 米国ではステーブルコインに関する法案「Clarity for Payment Stablecoins Act」も議論されている。この法案は、ステーブルコインの発行体に対してライセンス制度を導入し、銀行規制に類似した厳格な要件を課すことで、市場の健全性と透明性を向上することを目的としている。 ステーブルコインは、暗号資産市場における決済通貨としての役割を果たしており、その発行総額はブロックチェーン上の「マネタリーベース」とも言える存在だ。実際、2024年に入ってからはビットコインが上昇する中でステーブルコインの発行総額が増加しており、それだけビットコインやアルトコインの買い需要が高まっていることを示唆している。 また、ショッピファイやペイパル・ホールディングスなどの大手企業がステーブルコインを活用した決済サービスを提供しており、2025年はその利用が事業者参入とともに拡大することが予想される。これにより、ステーブルコインが実生活における決済手段として普及すれば、暗号資産市場の成長が一層加速することが見込まれる。 こうした規制強化は、既存のステーブルコイン発行体に影響を及ぼす可能性がある。 特に、世界最大のステーブルコイン「USDT」を発行するテザー社の動向には注目である。同社は、欧州のMiCA規制に準拠できない状況が続いており、米国においても同様の問題に直面する可能性がある。規制の影響でUSDTの流動性が大きく低下した場合、暗号資産市場に動揺が走る恐れがあるだろう。
■ (3) 米国ではビットコイン準備金の実現も 米国では国家財政におけるビットコイン準備金の導入に関する法案も議論されている。この法案には、5年間で100万枚のビットコインを購入する計画が含まれており、ビットコインの将来的な価値向上によって、GDP対比で約120%まで膨らんだ国家債務の返済原資を確保する狙いがある。 国によるビットコイン準備金の導入は、トランプ次期米大統領が選挙活動でその可能性に言及したことで、一気に実現期待が高まった。米国の動きを見て、カナダやブラジルなど他の国でも同様の議論が広がり、ロシアのプーチン大統領は米ドルの代替通貨としてビットコインに言及している。 これらの動きを見ると、国が金に並ぶ「デジタルゴールド」としてビットコインを保有し始めるのは時間の問題のように思える。実際、トランプ次期大統領の任期中に米国がビットコイン準備金の導入を決定すれば、ビットコインの価格はさらに上昇するだろう。 しかし、企業や機関投資家、さらには国といった大口保有者が参入することで、それらの大規模な資産を管理するカストディリスクが高まる点も懸念される。特に米国では、コインベースがビットコイン現物ETFの大半でカストディアンを務めており、資産の集中化が進んでいることが問題視されている。 ビットコイン準備金については、相場のポジティブな面ばかりが注目されているが、それによって将来的に国の資産が流出するリスクを抱えるということも認識すべき課題である。米国が流出対策をリードしていくことが、国によるビットコイン保有を広げるカギとなりそうだ。