高校日本代表の一次候補合宿取材は面白い!佐々木朗希の伝説の「163キロ」など若きスター選手の原点が見える!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.14』】
荒削りでもスカウト受けする選手だった紅林弘太郎
ドラフト候補たちの力量をいろんな選手を比較しながら見られるこの合宿はとても有意義で、野手は木製バットを使うので、技術がわかりやすい。この年はオリックスの紅林選手が印象深いです。 当時は甲子園出場もなく、全国的には無名でした。打撃ではフリー打撃で、最初は当てることに苦労したものの、慣れてくると長打性の打球をどんどん飛ばし、紅白戦では奥川投手から二塁打を打っています。守備に関しては、肩は強かったものの荒削りで、捕球するまでのスピード、捕球の確実性はまだまだ。ヤクルト・武岡 龍世内野手(八戸学院光星)など他のショートのほうが洗練されていました。 その年のドラフトで紅林選手はオリックス2位指名。技術的には粗くても化ける可能性のある大型遊撃手のほうがスカウトから評価されやすいとリアルに実感しました。 満足度が高く、次回以降もぜひ取材したいと思いました。
2023年は二刀流・武田 陸玖を馬淵監督が絶賛!そのまま世界一のメンバーに
コロナ禍の影響で3年連続で中止になり、2023年から再開。この時のメンバーも逸材揃い。投手ではオリックス・東松 快征(享栄)ソフトバンク・前田 悠伍(大阪桐蔭)などプロ注目投手が揃い、野手では大阪商業大・真鍋 慧内野手(広陵)が注目されていました。この合宿で最も評価を高めたのがDeNA・武田 陸玖投手(山形中央)。投げても最速140キロの速球を投げ込み、打者としてもクリーンヒットを記録。馬淵 史郎監督(明徳義塾)が「打撃は天才的」と絶賛したことで、一気に注目されるようになりました。武田投手はそのまま高校日本代表に選ばれ、リリーフと4番打者として活躍し、初の世界一に貢献しました。 その中心メンバーは合宿に参加していた國學院大・緒方 漣内野手(横浜)、東洋大・高中 一樹内野手(聖光学院)の2人。俊足巧打で、小技も使えて勝負強い内野手たちが活躍しました。監督のカラー、方針によって光る選手が異なるのも面白いと感じていました。
今年のメンバーは野手の完成度が最も高い!今年はどんなチームになるのか
そして今年も世界一の翌年ということで、多くのメディアが注目する中で行われました。今年は過去2回と比べると、野手の完成度が最も高い印象を受けました。 紅白戦で本塁打を打った箱山 遥人捕手(健大高崎)、正林 輝大外野手(神村学園)。小倉 全由監督がセンバツ未出場組で真っ先に名前を挙げた大型遊撃手・石塚 裕惺内野手(花咲徳栄)が目立ちました。 フリー打撃でも最も長打性の打球を打っており、その打球の角度は大学生の打者と変わらないぐらいでした。ショートの守備も肩の強さが光りました。紅林選手のように、高校生遊撃手最上位の評価でプロ入りできる期待はあります。 俊足強打の境 亮陽外野手(大阪桐蔭)もいて、捕手、内野手、外野手にトップレベルの選手がいて、そのまま彼らが中心になりそうなぐらいレベルは高かったです。これまでの選考の事例を活かしているように感じました。