全国各地からの参拝者に広がる笑顔 山道は大変だけど - 音羽山観音寺後藤住職の花だより
奈良県桜井市にある尼寺「音羽山観音寺」には、全国各地から参拝者が訪れます。10月末の秋晴れのこの日。涼しくなるのを待っていたかのように、各地から参拝者が次から次へと山を登ってきました。 [写真]サインを求められて笑顔の住職
この日、まずやって来たのは、福岡から来たという夫婦。奈良が好きで正倉院展には毎年来ているとのこと。観音寺にはずっと来たいと思っており、正倉院展に来るのに合わせて、初めて登ってきたそうです。 「奈良は同じ場所でも5~6回訪ねないと、1回じゃ分からないぐらい奥深い」と話す男性は、なんと奈良県内にアパートも借り、福岡と奈良で半月ずつ暮らしていると言います。奈良のことをこんなに「好き」と言ってもらえるのはうれしいですね。 観音寺までの山道は予想以上だったようですが……。 「週に1回上って来る人は、上らなかったら足がなまるって言ってるわ」と後藤密榮住職。記者も月に1度のペースで上っていますが、半年経ってだいぶ慣れてきた気がします。 「お葉付きイチョウって、どこに実が付くんですか」と男性は聞きますが、住職によると付き方はいろいろだそう。ただ、お葉付きイチョウの出来はギンナンの出来具合によるようで、ギンナンが不作の今年はお葉付きイチョウも3つしか見てないそうです。
次にやって来たのは静岡から来た姉妹2人と、三重から来たという女性です。 腰が曲がっている静岡の女性に住職が、「農業してらしたの~」と尋ねます。 「分かっていただけますか。ずっとイチゴ農家をしていたんです」と女性。この春でイチゴ農家を辞め、今回念願の観音寺にやって来たとのこと。晴れ晴れとした女性の表情が印象的でした。 本堂の中では住職が作ったジャムなどが販売されています。その中の冬瓜(とうがん)ジャムが気になったのは、三重県から来た女性。米を作っているそうです。 「冬瓜ジャムって、どんな味ですか」 すると住職は、 「そりゃ、冬瓜の味よ」 と茶目っ気たっぷりに答えます。実はリンゴジュースも入れてあるとか。参拝者も一緒に、みんなの笑い声が響く観音寺です。 音羽山観音寺 山の中にある尼寺。桜井市南音羽。 JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。 火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門