松下洸平は“包み込むような愛”そのもの 地上波ドラマ単独初主演の医者役がハマり役な理由
日本テレビ系土ドラ9『放課後カルテ』が10月よりスタートする。 本作は、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保健室ヒューマンドラマ。主人公は、学校医として小学校に赴任してきた小児科医の牧野。牧野は文句ばかりで口も態度も大きく、無愛想なため、児童からは怖がられ、教師からも不評な問題ドクターだ。しかし、病気を診る目だけはたしかなため、児童の小さなサインを見逃さないといったキャラクター。 【写真】『9ボーダー』で川口春奈と一緒に寝てる松下洸平 一見問題だらけかつ掴めなそうなキャラクターのようにも思える牧野。その牧野を松下洸平が演じることに、筆者は驚きを隠せなかった。 松下といえば、優しい表情と柔らかな雰囲気、そして純度100%なのではないかと思ってしまうピュアさが魅力。特に最近では、『9ボーダー』(TBS系)で記憶喪失になったコウタロウを演じ、ロマンチックな甘いセリフやのびのびと歌を歌う幸せそうなオーラに私たちは癒しをもらった。『いちばんすきな花』(フジテレビ系)の春木椿役も心地よい言葉遣いの人物で、松下の“声”によって温かな作品となっていたことは忘れられない。 それ以外にも幅広いキャラクターをこなしてきたことはいうまでもない。しかし、どうしても今回松下が演じる牧野の「文句ばかり」「口も態度も大きい」「無愛想」……という役柄と、本人のイメージが結びつかない。 実際、本作の第1報ビジュアル撮影では白衣にメガネ姿、そして険しい表情で、ぶっきらぼうな牧野を表現したそうなのだが、子どもたちの笑顔につられて「僕も笑いたいな~」と本音を漏らしていたのだそう。あまりにもパブリックイメージ通りのエピソードに「やはり牧野と松下は結びつかないのでは?」と思ってしまう。 しかし、牧野というキャラクター、よくよく見ればただの“イヤなやつ”ではない。そもそも学校医、小児科医という仕事をしている時点で根底に子どもたちへの愛情があるに違いない。少々態度はぶっきらぼうかも知れないが、児童の小さなサインを見逃さない特性を考えても「救いたい」という想いがある。 そう考えると、これまでにもさまざまな“イイひと”を演じてきた松下が牧野を演じることにも納得できる。松下は、温かな愛で悩める人を包む役を演じられる、陽だまりのような俳優なのである。 松下はこの牧野というキャラクターについて「難しさと楽しさがあると思っています」と分析。「僕なりの解釈ですが、牧野先生をただのツンケンした、何を考えているのか分からない人にはしたくないというか。彼は誤解を生んでしまうことも多々あるのですが、そこには信念や、医師としての思いも詰まっているんだと思います。時々抜けていたり、児童たちにいじられる愛らしい部分もあったり、全部ひっくるめて、視聴者の皆さんに『も~、牧野先生~(笑)』って思いながら見守っていただけるような、そういうキャラクターになれたらと思っています」と回答している。 このように松下は、牧野に対しても優しい視点を持っている。それは、きっとドラマの中で、表面的にはわからない牧野の児童に向けた愛情として表現されるに違いない。むしろ、松下の根底にある優しさが牧野というキャラクターをただの問題ドクターではなく、子どもたちの背中を押す存在としての厚みを持たせてくれるだろう。
於ありさ