技能実習制度について指宿弁護士が会見(全文1)政府・法務省は「カラスは白い」と言い続けてきた
技能実習制度の廃止を打ち出さない法務省
指宿:後半。 今回の法案審議の前提として、法務省はなぜ技能実習制度の廃止を打ち出さないのでしょうか。法務省もこの制度がどんなに改善しても、制度の構造的な問題を是正することができないということは知っていると思います。本当は技能実習制度の廃止を前提に新たな外国人労働者受け入れ制度の創設を提案すべきだったのです。技能実習制度の過ちを認めて、それを前提に議論をしようとしないから混乱が起こっています。 法務省は2017年の技能実習生の失踪についての資料において、失踪の原因として、より高い賃金を求めてが約87%であったと公表しました。ところがその後、失踪の原因の項目は低賃金で、約67%であったと訂正しました。失踪者の実習先での月給は10万円以下が約57%でした。多くの技能実習生が最低賃金以下の違法な状況で働き、そのまま働いていたら借金が返せないと考えて失踪したのでしょう。そもそも私は失踪ではなく緊急避難だと思います。実習生は働き続けることができない原因があって避難しているのにすぎないのです。 法務省の資料に誤りがあったのは偶然ではないと思います。技能実習制度の失敗を認めない、この制度を維持しようとする姿勢がここに表れているのです。 通訳:あとはカットですか。 指宿:はい。 技能実習制度の失敗を認め、同じような人権侵害、権利侵害を繰り返さない制度を作るという決意を持って検討に臨まないなら、また同じ過ちを繰り返します。新制度が第二の技能実習制度になりかねないと思います。 次に外国人労働者受け入れ政策について述べます。新たな外国人労働者受け入れ制度においては、技能実習制度と同様の人権侵害が起こらないようにすることが重要です。今回提案された法案には多くの課題、欠陥があります。それについて述べます。 このあと、ちょっと内容を省略して項目だけ述べていきたいと思います。1点目に、今回の制度において外国人労働者の職場が移動できる、職場移動の自由が実質的に保証されるかどうかが分からないという問題があります。2番目に、送り出し国におけるブローカー規制がほとんど行われないということです。3番目に、日本国内におけるブローカー規制も行われないということです。4点目ですが、今回の制度は特定技能1号というものと特定技能2号というものができるんですが、この特定技能1号においては家族帯同が認められず、在留期間の上限が5年とされている。これが問題です。5点目に、受け入れの基準の透明性、客観性が確保されていないという問題があります。 次に、法案の中で受け入れ後の共生政策について。ごめんなさい、法案の中でというか、今回の受け入れ制度において、受け入れ後の共生政策についての課題についてお話しします。1点目に、外国人労働者に対する支援体制が不十分であるという問題があります。これが民間の団体に任されているんですが、国が責任を持って行うべきだと思います。2番目に共生政策についてですが、共生政策について法律的な裏付けがなされていません。また財政的な根拠も明らかでない。これが問題です。 【書き起こし】技能実習制度について指宿弁護士が会見 全文2に続く