知られざる「ルヴァンカップ」の真実(1)名古屋と新潟の決勝で「思い出した」名将の言葉、そのものにも「価値がある」銀含有率92.5%優勝杯の製造元
■高級ブランド「ティファニーで製作を」
しかし、メノッティの言葉どおり、銀製の「カップ」そのものに価値があるのではない。それをめぐっての無数の選手たち、監督たち、レフェリーたち、そしてサポーターたちの人間としての活動こそ唯一の「実体」であり、こうした人々の努力と献身にこそ、何ものにも代えられない価値があるということが、名古屋と新潟の奮闘を見ればよくわかるのである。 ちなみに、この日、名古屋が獲得した優勝トロフィーは、実際には相当、高価なものらしい。「ルヴァンカップ」は、日本サッカー協会が主催する全日本選手権「天皇杯」の優勝カップのように「持ち回り」ではなく、大会ごとの優勝チームが永遠に保持できるもの。そして、それが1994年の第3回大会以来、毎年アメリカの「ティファニー」で製作されているという。あの「ティファニー」である。 高さは約56センチ、幅は約27センチ、そして重さは6.3キロ。スターリングシルバー(銀含有率92.5%)製。アメリカ北東部ロードアイランド州のカンバーランドという人口3万5000人の小さな町にあるティファニーの工房で、毎年2か月半をかけて製作されているという。「存在しない」などと言い切ってしまったが、カップという「もの」自体も、なかなかなものなのである。
大住良之
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