巨人対DeNA 1回裏巨人2死二塁、申告敬遠で出塁する岡本和（撮影・鈴木みどり）

＜セ・CSファイナルステージ：巨人2－3DeNA＞◇第6戦◇21日◇東京ドーム 　両チームとも力を発揮しきれないような試合が続き、ついに最終戦までもつれ込んだ。先発はともにCSファイナル初戦で投げ合った戸郷とケイ。戸郷は6回1／3を投げて2失点。ケイは6回を無失点。試合の焦点は、この先発からどう得点していくかだった。 【写真】7回裏巨人2死一、三塁、見逃し三振に倒れるヘルナンデス 　DeNAは1番の梶原を7番に下げ、8番だった戸柱を6番に上げた。一方の巨人は4番の岡本和と6番坂本以外、すべての打順が変わっていた。3連敗してからは、日本シリーズに合わせて調整を進めてきたと思われるヘルナンデスを緊急招集し、5番に起用していた。しかしここまでの2試合で7打数無安打。コンディションは万全ではなかっただろうし、打てる雰囲気は感じなかった。 　「5番・ヘルナンデス」が、打てない打線に拍車をかけてしまった。初回2死一、二塁、ショートゴロを森敬が一塁に悪送球して1点は入ったが、1ボールから内角の真っすぐを打ってドン詰まり。3回2死二塁からもカウント1－2からワンバウンドするチェンジアップを空振り三振。5回2死一塁からは外角のスライダーをバットの先で打ってセンターフライ。リリーフの伊勢と対戦した7回2死一、三塁でも外角低めの真っすぐを見逃し三振。すべて走者のいる打席だった。 　何よりも痛かったのは、DeNAバッテリーに4番岡本和との勝負を避けられたこと。DeNAも最初に出場した試合ではヘルナンデスの調子がどうなのか半信半疑だっただろう。しかし、今試合は初回2死二塁からと、7回2死三塁から2度の申告敬遠。9回2死から回ってきた最終打席もベンチからピッチングコーチが出てきて、指示を与えていた。他の打席も徹底マークはきつく、積極的にバットを振る岡本和の待ち味は封じ込まれてしまった。 　岡本和の後ろの打者を誰にするか。結局、最後はヘルナンデスにこだわりすぎた印象が残った。シーズン中盤でヘルナンデスが加入しなければ、巨人のリーグ優勝はなかったし、ケガで長い期間、戦列を離れていたし責めるつもりはまったくない。しかし状態は確実に悪かっただけに、最後の試合は実績のある坂本でよかった。坂本は今試合まで13打数4安打（3割8厘）で、今試合も4打数2安打（トータルで3割5分3厘）だった。 　一方のDeNAは、特に当たっている打者はいなかったが、オースティンと佐野はいいところで打ったし、MVPの戸柱は好守でいい働きをした。選手個々の力量差がある巨人と、バランスがいいDeNAの差が出たように思う。巨人にしても戸郷と菅野が投げて負けたのだから仕方なかったと思う。 　パの代表・ソフトバンクはかなり強い。ギリギリの戦いが続いたDeNAだが、しっかりとコンディションを整え、セの代表として堂々とぶつかってほしい。（日刊スポーツ評論家）