「結婚したら禁煙する」約束を守らず、子どもが生まれても喫煙する夫…妻は「婚姻無効にしたい」
⚫︎夫の喫煙は離婚事由になる?
――女性が自身の体調や子どもへの悪影響をうったえても、夫が無視して喫煙を続ける場合、離婚事由になりますか 「女性の体調や、お子様への悪影響を訴えても無視して喫煙を続ける」ことを理由に相手と離婚の話し合いをすることは勿論できますが、裁判でこれを理由に直ちに離婚が認められるかというと、それは難しいです。 先ほど説明させていただいたとおり、今回のご事情は、裁判で離婚が認められるための「離婚事由」である「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)にあたるかどうかの一つの事情です。
⚫︎慰謝料請求ができるポイントは?
――女性は夫に対して、別居した場合の婚姻費用や、慰謝料を請求することは可能でしょうか。 夫の喫煙に耐えられず別居をされた場合、婚姻費用の請求をすることはできます。夫からすると「妻の都合で勝手に出て行ったのだから婚姻費用を払う必要はない」と言ってくる可能性はありますが、婚姻関係が解消していない以上は婚姻費用の請求は認められます。 慰謝料は、禁煙した約束を守ってくれなかったことによる精神的苦痛、受動喫煙による精神的・身体的苦痛を内容にすることになるかと思います。 単に「約束を守ってくれなかった」「受動喫煙に晒された」というだけでは足りず、それがどのように相談者様の具体的な「権利や法的利益を侵害したか」を証明する必要があります。 そこでは、やはり先ほどの「婚姻関係を継続し難い重大な事由」の事情と同様に婚前にどういう約束があったのか、結婚生活における夫の喫煙状況などがポイントになってきます。 相談者の方には厳しいことを申し上げますが、禁煙してくれないのであれば結婚をなかったことにしたいほど禁煙が重要なのであれば、禁煙したのを確認してから婚姻すべきであった、ということです。 【プロフィール】 小田 紗織(おだ・さおり)弁護士 法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。 事務所名 :神戸マリン綜合法律事務所 事務所URL:https://kobemarin.com/