痛みこらえて劇的逆転 平野歩、勝負強さ発揮―スノーボードW杯
満身創痍(そうい)の平野歩が、持ち前の勝負強さを発揮した。 逆転を狙った最終の3回目。冒頭に縦3回転、横4回転のトリプルコーク1440を決めるなど、完成度の高い五つの技を流れるように披露してトップに躍り出る97.00点。「後悔のないように集中して自分を高めていた。できることをやるということだけを考えて、今できる限界は出せたのかな」。安堵(あんど)の表情で喜びをかみしめた。 【写真特集】スノーボード 平野歩夢 11月の練習中に転倒して肋骨(ろっこつ)を骨折。さらに腰も痛めるなど万全とは程遠い状態で今大会に臨んでいた。「このレベルの人たちと競い合うこと自体無理のある判断だったけど、その上で自分自身のチャレンジができれば、とここに来た」。痛み止めを飲み強行出場して残した好結果に、自信を深めた様子だった。 金メダルを獲得した北京五輪を想起させる鮮やかな逆転勝利。エースが見せた執念の滑りに、村上コーチは「五輪と一緒。プレッシャーがかかる中であの演技。けがしている体じゃないですね」と舌を巻いた。